アメリカの発達障害児への支援状況
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以前、ステラ星ヶ丘校と名駅校の合同研修会を行いました。
そこで、ステラのスタッフの一人がアメリカの心理学の大学院の現地実習で2週間ほど勉強してきたことの報告会を行ったので、その内容をまとめてみました。
(前回の研修会の様子は>>こちら)
法律
アメリカでは、1973年に『IDEA(Individual with Disabilities Education)』という法律が制定されました。
内容としては、「0歳から21歳までの障害のある子どもに無償の適切な公教育を権利として保証する。その中には特別教育と関連サービスが含まれる。」というものです。
また、1990年にも『Americans with Disabilities Act』という法律が修正され、その内容は「雇用並びに交通公共機関・公共施設の利用などあらゆる生活場面における障害者への差別が禁じられ、障害者の機会平等が保証されている。」というものです。
一方、日本では2004年に『発達障害者支援法』の制定、『障害者基本法』の改定が行われました。これらの法律で以前は対象外であった発達障害(ADHDやLD、自閉症スペクトラム障害など)をもった人も支援の対象となりました。
日米の発達障害についての法律の制定時期には約30年の差があります。
そのため教育や行政、医療などの横のつながりの点で日本はまだ遅れているそうです。
人口に対する発達障害者の割合
アメリカでは『No Child Left Behind Act (落ちこぼれゼロ法)』という法律が2003年に制定される前は該当人口の3~5%が発達障害と診断されていましたが、制定後は12%になりました。
一方、日本は該当人口の6.5%が発達障害と診断されています。
人種間に倍ほどの差が出るのはやはりおかしいので、日本ではまだ表面化している人が一部だと考えることもできます。
支援方法
アメリカではIDEAの基準に適合したら無料で支援を受けることができます。
0~2歳までは子どもの生活およびその家族に焦点を当てた支援がなされ、3~21歳では教室での子どもに焦点をあてた支援がなされます。
早期介入、進学の度のスムーズな切り替え、無償という点に重きを置いています。
天才児教育
アメリカではGATE(Gifted and Talented Education)と呼ばれる、いわゆる天才児教育がさかんに行われています。
ある一定の基準を満たせば特別な教育を受けることができるようになります。
通常の学校での授業ではなく、その子の能力を最大限に伸ばせるような教育方法が取られています。
というのも、彼ら/彼女らはギフテッドと呼ばれ、能力間のバラつきが大きくADHDやLDと診断される子どもが多いためこのような特別プログラムが必要となった経緯があります。
保護者の支援
アメリカには「Parent center」というものが、各州に少なくとも1カ所以上あります。ここでは、地域の教育的、医療的、福祉的なサポートをしてもらえます。
日本でいうところの「発達支援センター」みたいなものではありますが、「Parent center」に行けば教育・医療・福祉的な支援をすべてここで受けられ、各領域にまたがった情報提供も受けられるため、日本のように親御さんがいろいろな機関に相談に回らなくても済むため便利だということでした。