音声表出が困難だった子が、DropTap(ドロップタップ)を使って音声表出に繋がった一例(第10回小児診療多職種連携研究会での報告内容)
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2024年2月10日・11日、ステーションコンファレンス東京にて第10回日本小児診療多職種研究会が開催されました。今年も、ステラ幼児教室の取り組みを報告させていただきました。
今年の報告内容は、「音声表出が困難なASD児にDropTap(ドロップタップ)を導入後、音声表出がみられた一例」です。
DropTap(ドロップタップ)とは、NPO法人ドロップレット・プロジェクトが開発したAAC(補助代替コミュニケーション)ツールで、2000語のシンボルと音声が搭載されており、使い手によってカスタマイズが可能となっているipad用のアプリです。現在、全国の教育・福祉・医療の現場で多くの活用事例があります。
「選択」「要求」「拒否」等の意志表出が必要な場面で、このアプリを提示して、利用児にタップを促す支援をしました。
最初に、以下写真のような画面をドロップタップで用意しました。画面上のアイコンのいずれかを選択すると、同じものを実際に提示するようにしました。最初は、その原理を理解できませんでしたが、徐々に意味を理解して、要求したいものをタップできるようになりました。
2択での選択ができるようになったので、今度は選択肢を増やしていきました。選択肢を増やしてもスムーズにタップができるようになりました。
次は、2語文での要求表出を導入しました。「○○ちょうだい」の要求表出を促します。
次に、指導員の「これ何?」の問いかけに対しての応答課題です。動物フィギュアを提示して、「これ何?」と問いかけて、ドロップタップ上の絵を選ぶ課題です。最初は意図を理解していませんでしたが、徐々に理解して、正しいタップができるようになりました。
ドロップタップでの意思表出ができるようになり、ひらがなの音読も可能になったため、2語文の要求表出にひらがなを取りいれることにしました。文字による応答課題にも取り組めるようになりました。
この頃には、意にそぐわない課題が提示されると、怒って床に寝転ぶなど意思をハッキリ表出できるようになりました。絵本では、児が好きなページになると、共感を求めるアイコンタクトもありました。
2語文での要求表出ができたら、3語文での要求表出を導入し、また、50音表を使って要求表出ができるように促しました。
このようなドロップタップを活用した取り組みの結果、児の意思表出のモチベーションが向上し、そして、音声表出にも繋がっていきました。今後は、この50音表を使用した意思表出の定着と音声表出の更なる増加を目指していく予定です。