大阪府立西成高校ステップスクールってどんな高校なの??
- 大阪府
- 福祉制度・サービス
- 進学・受験
- 就活・自立
淀川区の子ども支援部会のお誘いで、大阪府立西成高校ステップスクールの見学に行ってきた。
ステップスクールについて、まず引用してみる。
西成高校は、高校と聞いて、一般的に想像される高校とは少し違う特色を持っている。ひと言で言えば、大学進学を目指すと言うよりも、社会人として世の中に出るための準備を先生や友達と一緒になって進めようという高校。地域とつながり、生きていく力を育み、そして、世の中に希望を持てるようになる高校。
創立51年目で、今年よりステップスクールが始まった。これまではエンパワーメントスクールと呼ばれていたので、ステップスクールはまだ1年生のみ。
3学年で総生徒数は510人くらい。教職員は80人くらい体制。1クラス30人くらいで構成されていて、1学年5クラス。知的障害生徒の自立支援コースは定員3名。枠組みは高等学校の教育の範疇で運営されていて、支援学校ではないため、その教員免許を持っている先生ばかりという訳ではない。なので、支援学校のように先生が手厚くフォローしてくれると言うこともなく、友だちに助けてもらったり、地域と関わって縁を作ったりしながら、生きる力を育む学校。支援学校に比べれると、より自立する力が求められている。
校長先生の話では、家庭に事情を抱えたりしてうまいこと勉強ができなかった子が多く通っている印象。教頭先生は、「元祖ヤングケアラーやで」と笑いながら言う。兄弟の世話をしたり、親の世話をしたり、そういうことをやる生徒も多い。だから、登校時間は9:35と遅めに設定してある。そうすることで、家事をこなすことがしやすくなる。
なかなか人には言えない、表現しづらい悩みを抱えている子どもたちが大勢いる。家ではない居場所としても機能させたい。だからこそ、校内にはカフェもある。となりカフェという。となりカフェには、たくさん生徒たちが集まる。朝ご飯がなかなか食べられない子もいて、朝カフェという企画も実施している。朝カフェに来たいがために、わざわざ30分早く学校に来るようになった子もいる。空腹を満たし、心の安全を確保しながら、誰かと話すことができる。そんな空間で時間を過ごすことで、世の中を前向きに捉えられるようになり、自分の道を歩こうという気持ちを育む。
ステップスクール2年生からは自分の興味関心に合わせて系列・コースを選択できる。
スポーツ系列:総合スポーツコース/eスポーツコース
カルチャー系列:アートクラフトコース/表現コース
ライフ系列:ライフデザインコース/福祉コース
校長先生はeスポーツコースを引き合いに出してこう言っていた。
居場所をつくり、社会とのつながりをつくる高校。社会に出る最後の3年間をここで過ごして、「世の中に希望を持って飛び出していってほしい」そんな想いが感じられる高校。
今は、N高校を始めとして通信制高校が花盛りだが、やりたいことが明確な子どもに取って通信制高校はよい高校なのかもしれないが、朝起きることが難しかったり、家庭でいろんな事情を抱えていたりする子には通信制高校は向かないことも多い。まだまだ助けが必要で、その助けが温かく、温もりが感じられるものであれば、それをしっかり3年間シャワーのように浴びることが社会に出る力になるのではと思う。
西成高校は、学校斡旋就職13年連続100%を達成している。就職先は、
販売接客
エービーシーマート、上新電機、泉北エーワン、コノミヤ、トヨタカローラ南海、近鉄・都ホテル など
接客・調理
木曽路、がんこフードサービス、心斎橋ミツヤ、近鉄リテーリング など
介護・福祉・保育
央福社会、白寿会、ヒューマンライツ福祉協会、帝塚山福祉会 など
製造・技術・警備
飛鳥鉄工所、三晃自動車、古賀工業、山崎製パン、551蓬莱 など
清掃
シャープ特選工業、あしすと阪急阪神 など
運輸・物流倉庫
アート引越センター、日本郵便、鴻池運輸、ヤマト運輸 など
事務
大阪中央冷蔵、ケイエスケー
など、多方面の就職先がある。
西成高校に3年間しっかり通って、心を整え、そして、社会に出るための心と足腰を鍛える。そうすることによって、地域と共に、社会の担い手として活躍する子どもたちが育っていく。そんな未来を感じる見学会だった。
参照:大阪府立西成高校