学校での合理的配慮について~発達障害への対応は?~
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「合理的配慮ってなに?」
合理的配慮とは、障害のある人がない人と平等に人権や基本的自由を享有し行使できるよう、個別に調節や変更を行うことを言います。
日本では2016年に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が施行されたことにより、その名が知られるようになりましたが、2021年6月に文部科学省から「障害のある子供の教育支援の手引き」が出されたことにより、学校現場でもよりきめ細やかな合理的配慮が求められるようになってきました。
学校における合理的配慮とは、障害のあるお子さんが,他のお子さんと平等に『教育を受ける権利』を享有・行使することを確保するが目的ですが、『平等』のためになんでもしてもらえるというわけではありません。
お子さんにとって『必要かつ適当な変更、調整』であり、学校側に『過度の負担を課さない』ことが合理的と捉えられます。
お子さんに対して必要以上の配慮を求められた場合や、配慮の実施に伴って学校側の経済負担があまりにも重たい場合や、教職員や支援者の配置ができない場合など負担が過度であると判断された場合、求める合理的配慮が受けられないこともあります。
過度な負担の判断は各学校によります。2人のお子さんが同じような配慮のお願いをした場合でも、具体的場面や状況に応じてできるかできないかの判断が変わることがあります。
保護者の方の望まれる支援が実現できない場合でも、負担が少ない形でほかの配慮が行えないか、代替案を検討することで対応できることもあるでしょう。
実際の合理的配慮の例
では具体的に学校ではどんな合理的配慮がしてもらえるのでしょうか?
実際の配慮を受けることができた例をご紹介します。
板書を取るのが苦手なお子さん
板書を取るのに一生懸命で先生の話を聞けなかったため、授業の内容をプリントにまとめて授業前に事前に渡してもらうようにしてもらった。
⇒ 先生の説明を落ち着いて聞くことができるようになり、授業の理解度が上がった。
学校の授業内容になかなかついていけないお子さん
副教材を注文する際に同級生にはわからないように前の学年の物を注文してもらった。
⇒ 日々の家庭学習の負担が改善。生活や心の安定につながった。
支援級在籍で板書と漢字が苦手なお子さん
交流級に行く際にタブレットの持込みを許可してもらい、黒板をタブレットで撮影し、ノートは家でまとめ、授業中漢字がわからない時はタブレットで調べても良いという事にしてもらった。
⇒ 授業中のストレスが軽減。授業への参加意欲が上がった。
まとめ
先ほど述べたように学校によってできる配慮は様々ですので、全ての学校で上記のような合理的配慮が受けられるわけではありません。
合理的配慮へのとりくみはまだ始まったばかりなので、「一人だけ特別扱いはできない」「ずるい」と理解を得られないこともあります。
合理的配慮は他のお子さんと同じように取り組めるようにするためのサポートです。
学校に合理的配慮をお願いする際は、困難さをアピールするだけではなく「家庭ではこういう風にやるとわかりやすいようなので、学校ではこことここをサポートしていただけるとありがたいです。」というように具体的に交渉をしていくと良いでしょう。
どんな配慮があるとお子さんの困難を少しでも軽減できるのかを、学校と一緒に考えられる関係性を築けることが理想ですね。
長くお付き合いをする事になる学校ですから、より良い信頼関係が築けるとお子さんにとっても良い環境となることでしょう。
日本経済新聞2021年10月19日記事