文字がなかなか読めない!ひらがなの読み書きってどうやって教えたらいいの?①
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近年では幼稚園や保育園のカリキュラムとしてひらがなの読み書きを取り入れているところも多く、小さな頃から文字に触れる機会が増えています。
その中でも、
練習をしてもなかなかひらがなを読めるようにならない!書けるようにならない!
というお子さんもいることでしょう。
そんなお子さんにどのようにひらがなを教えていくのがいいのでしょうか?
ひらがなを読み始める時期
まわりに文字が読めるお子さんがいると「遅れているのかな」と焦ってしまうこともあるかと思いますが、一般的に、子どもが「文字に興味を持ち始めた」時が、文字の読み書きの習得を進めていくのに最適な時期だといわれています。
乗り物、動物などお子さんによって興味のある分野は様々ですが、形や文字に「興味がある」子の方が、ひらがなの習得が早い傾向にあるといえるでしょう。
文字の読みを進めていくためには子ども自身の“何が書いてあるのかしりたい!”“文字を読めるようになりたい!”という気持ちが大切です。
文字に興味のないお子さんに無理に教え込んでも、子ども自身の“文字を読めるようになりたい!”という気持ちが育たなければ文字の読みはなかなか進んでいかないでしょうし、嫌がる子どもに対して文字の練習を無理強いすることは、読み書きを嫌いにさせてしまう可能性があるので避けたほうがいいでしょう。
ひらがなの読みを進めていくポイント
興味や気持ちが大事と述べましたが、就学を控えて「少しでも文字を読めるようになってほしい」「少し興味が出てきたからさらに広げていきたい」という方もいらっしゃることでしょう。
では読みを進めていくためには実際に何をしていけばいいのでしょうか。いくつかポイントを紹介します。
視空間認知を育てよう
文字の読みには、文字を目でしっかりと捉えたり、形を記憶したりする力が必要となってきます。
その中でも「視空間認知」と呼ばれる力は、形を正確に捉える際にとても大切です。
この力が十分に発達していないと、「あ」と「お」の区別がつかなかったり、書体の違う文字が同じ文字だと認識できなかったりします。
「視空間認知」の能力が発達しているのかを確かめる一つの目安として、形の見比べがあります。様々な色や形のパズル、ビーズの中で丸やだ円、正方形と長方形のように似ている形も区別することができていれば、形の違いを認識するための能力が育ってきているといえるでしょう。
視空間認知は、「ものを見て、触って、動かす」という動作を繰り返すことで発達していきます。
この力を育てていくには、見本の形を捉え再現するようなパズルやタングラム、はさみでの形の切り抜き、仲間探し等が効果的です。
語彙を増やそう
「視空間認知」が育っており、「あ・い・う・え・お」と1文字ずつの読みができていたとしても、それが文字を理解した、ということにはならないかもしれません。
例えば『ゆきだるま』と書いてあるのを見て、「ゆ」「き」「だ」「る」「ま」と一文字ずつで認識するだけではその文字が何を示しているかがわかりません。
何を示しているかを理解するためには、「ゆきだるま」とまとまりで理解し、物をイメージし、音の「ゆきだるま」とその意味を結びつける必要があります。
つまり、前提として「ゆきだるま」というものを知っている必要があるのです。
文字だけを教えても、言葉を知らなければ文字を読む必要性を感じにくいため、お子さんの「読めるようになりたい!」という意欲はなかなか湧いてこないでしょう。
文字を理解するための土台作りとして、日ごろからの言葉遊びを取り入れていくと良いでしょう。
興味関心を広げていこう
先にも述べた、興味や気持ちの部分です。
これにはいくつかの方法があり、お子さんによって興味を持てるポイントは様々です。
いくつか例を載せますので参考にしてみてください
①ひらがなに日常的に触れる機会を増やす
・お出かけの際に、看板や標識の文字に注目させる(「ゆう君の“ゆ”があるね!」と子どもの身近な文字と関連付けて声掛けをする)
・ひらがなの玩具で一緒に遊ぶ
②大人側が文字を活用している姿をみせる
・絵本の読み聞かせ
・家族間で手紙の交換
③子ども自身でもひらがなを覚えていける環境をつくる
・五十音表を普段目にしやすい場所に貼っておく
・好きな乗り物、動物、キャラクター等の名前をシールにして貼ってみる
いずれの場合でも大人側からの無理強いにならないよう、楽しい雰囲気の中で取り組めると良いでしょう。またお子さんの子どもがひらがなを読もうとした時、読めた時はたくさん褒めてあげて下さいね。
今回はひらがなの読み書きの『読み』についてお話をしました。次回の更新は『書き』についてお話をしたいと思います。
・「発達の気になる子の 学習・運動が楽しくなる ビジョントレーニング」(北出勝也/監修:ナツメ社)
・ 幼児期におけるひらがなの獲得過程とその発達的意義(柴崎正行)