注目を引きたくておもちゃを投げる 子どもの問題行動とその対処方法2
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前回のコラムでは子どもの問題行動のうち、「有形物獲得行動」とその対応方法についてお話いたしました。
問題行動の種類
有形物獲得行動(物を得るためにする行動)
例:スーパーで泣いてお菓子を買ってもらう
注目獲得行動(人からの反応を得るためにする行動)
例:大人を叩いて走って逃げる
逃避行動(嫌な事から逃げるためにする行動)
例:授業中に離席して床に寝転ぶ、テストをくしゃくしゃにして投げる
自己刺激行動(自ら刺激を得るためにする行動)
例:手のひらをひらひらさせる、身体を前後にゆらす
今回はこの4つの中の「注目獲得行動」について詳しく見ていきます。
注目獲得行動とは
相手からの注目や、関わる機会を得るために起こす行動のことを言います。
「お母さん、お父さんに来てほしい」「周りの注目を引きたい」「お友達と遊びたい」等の要求を叶えることが行動の目的です。
注目獲得行動の場合、相手からの叱責も“嬉しい注目・関わり”となることが多いため、叱っても叱っても問題行動が減らないことが多くあります。
例で考えてみましょう
ステラくんがそうしてしまうのは、お母さんが家事仕事をしているときに多いようです。
お母さんは、ステラくんのおもちゃや頭が壁にぶつかる音がすると、ステラくんの近くにやってきて、「やめなさい!」と叱り、その後、一緒におもちゃを片づけたり、ステラくんの頭を保冷剤で冷やしたりしています。
お母さんが近くにいるときは、ステラくんは落ち着いておもちゃで遊んだりしています。
しかし、お母さんが再び家事仕事に戻ると、ステラくんはまたおもちゃを投げたりしてしまいます。
おもちゃを投げたり、頭を壁にぶつけたりするステラくん。ステラくんはどうしてこのような行動をしてしまうのでしょう?
まずは問題行動を分析してみましょう
お母さんから注目を得ることができない状況のときに、おもちゃを投げる・頭をぶつける行動をすることでお母さんからの注目が得られるようになる為、ステラくんはおもちゃを投げているのだと分かります。
対処法
ではこの行動をどう対処していけばいいでしょうか?
相手からの注目が得たくて行っている行動なので、その行動を行っても誰も反応しない、誰も近づかないことで行動を減らしていくことができます。
ただしこの場合も有形物獲得行動の時と同様に、一時的にもっとたくさんおもちゃを投げる・もっと強く頭をぶつける行動が出てくる可能性があります。
そこで、その行動をしても反応をしないのと同時に「おもちゃを投げる・頭をぶつける」の代わりになる行動を教えてあげる必要があります。
例えば…
・「ママ」と言う
・お母さんの服を引っ張る
このような適切な行動を問題行動が出る前に教えてあげましょう。行えた直後にお母さんが一緒に遊んであげることで、上記の望ましい行動を増やしていくことができます。
また、上記の行動が生じなくても、
・音の出るおもちゃで遊ぶ
・絵本をめくる
このように子どもが1人で遊んでいるときに、お母さんが近づいて一緒に遊んであげるという対応をすることで、音の出る絵本や絵本だとお母さんが一緒にいてくれると意識づけることができ、絵本を持っていくことを「頭をぶつける・おもちゃを投げる」行動の代わりにしていくことができることもあります。
まとめ
注目獲得行動は、相手との適切な関わり方を知らない、関わり方を知っていてもその状況における望ましい行動のレパートリーが少ないために起きていることが多くあります。
注目獲得行動に対して叱責をしても、叱責そのものが本人にとって反応してもらえるという喜ばしい行動になってしまうことがあります。
ステラ幼児教室では、お子さんの注目獲得行動に対して、危険が伴う行動以外は基本的には反応をしない、別の行動に変えていく事で対応をしています。
おもちゃを投げたりする行動は誰も反応してくれないからつまらない、先生と遊んだほうが楽しいと徐々に学んでいくことで、問題行動を行わなくなったお子さんもたくさんいらっしゃいます。
本人が何をしたくてどこに困っているのかを理解し、適切で楽しい関わり方を教えていくことが大切です。