発達障害の支援方法
- 支援方法・家庭での過ごし方
ASD(自閉症スペクトラム)
「良いこと」と「悪いこと」との違いを明確に
発達障害児の中には相手の気持ちを察したり、表情を読み取ることが困難な子どもがいます。本人にはまったく悪気なく、見たことのそのままを口にしてしまい、遠まわしな表現やたとえ話、暗黙のルールなどは、理解できないことがあります。伝わりやすい方法はさまざまですが、それでも「良いこと」「悪いこと」がわかりやすいように伝える必要があるでしょう。
例・人がいやがることを言ってしまう場合
「○○さんは、△△って言われたくなかったんだよ。あやまろうね。」
などと双方の関係の改善を促す。
・別の場面で相手を不快にする言葉を発した場合
「△△に関することばは言わない方がいい。」とそのつど指導し、
その経験を積みながら、人を不快にすることばを覚えさせていく。
「見通しを持たせる「構造化」
想像力の欠如や認知理解の未熟さという特徴からもわかるように、見通しが持てない、あるいは時間の概念に弱いPDD(広汎性発達障害)児も多いです。しなければならないこと、してほしいことをわかりやすく「構造化」していくことも有効です。また、その日その場で予定が変わってしまうことで大きな不安を抱え、混乱してしまうこともあるので、予定変更をあらかじめ知らせておくと良いでしょう。
例・「活動内容」の構造化
作業や課題に取り組むときは、手順をわかりやすく伝えましょう。
1.何をやるか(内容)
2.どのくらいやるか(量)
3.どうやったら終わりか(終了)
4.終わったら次はどうするか
*「具体目標を明確にする。」「色を変えたりマークをつけたりするなど視覚的に強調させる」ことによって、活動に取り組みやすくなります。
ADHD(注意欠如多動性障害)
叱る、注意をする」よりも「認め、励ます」
発達障害児の中には、注意されて「気をつけよう」と思っていても、その気持ちをずっと保っておくことが難しく何度も同じことを繰り返してしまう子もいます。また、度重なる叱責により、自己評価が低くなったり、努力する事を諦めやすくなります。その結果、自暴自棄な行動や衝動性の亢進が目立つ事があります。なので、本人や他人に危害が及ぶ時以外は、本人のペースを尊重し、ある程度特性を許容することも必要なのです。
例・授業中に他事をしている場合
授業の途中でお絵かきをしている ➡ 「本人のペース」として認める。
お絵かきをして自分自身の時間を確保していることによって、パニックを軽減させているかもしれません。頭ごなしに注意するのではなく、認めてあげることも大切です。
禁止の言葉を避ける
しっかり聴覚が捉えられていないため、禁止される文字のみが耳に聞こえ、本来はやらないべきであるものをやってしまうことがあります。また、禁止をされることによって傷ついたりパニックを起こしたりすることがあります。なので、肯定的に子どもが理解できる視覚情報・キーワードに変換して伝えることが重要となります。そして、「~しない方がいい」などの曖昧な言い方ではなく、「~すればよい」と具体的に伝える必要があるでしょう。
例・どんな言葉かけ・指示をしますか?
・しずかにしてほしいとき ➡ 口を閉じて
・お片付けのとき ➡ ここに戻して、入れておいて
・廊下を走ってしまうとき ➡ 廊下を歩きましょう
・物を投げたとき ➡拾いましょう
LD(学習障害)
日頃の様子をよく観察し、子どもの特性をとらえる
診断名は同じでも、個々にそれぞれ個性豊かです。同じLD(楽章障害)も、計算は得意だが漢字が書けないとか、文章を読むのは得意だが計算は苦手など、表面上は同じ障害とは思えないほど、多様な特性を示します。よって、あるLD(楽章障害)の子どもに行っている対処法が、そのまま別のLD(楽章障害)の子どもに通用するわけではありません。日頃の子どもの様子をよく観察し,子どもがどのようなタイプか,どのようなやり方を得意とするかをおさえる必要があります。
例・聴覚よりも視覚のほうが優位にはたらくAさんの場合
Aさんの特性:「きちんと聞いていない」のではなく口頭の指示だけでは頭に入りにくい
➡絵やカードを示しながら説明して、理解を促す。
「スモールステップ」に分け、「即時にフィードバック」する
指導内容をいくつかのステップに分けて、順に提示にし、着実に達成させることで、子どものやる気を引き出します。このスモールステップの目安は、簡単すぎても手応えがなくなってしまうので、その子の今の力より、少し頑張ればできそうな目標を設定すると良いでしょう。
また,子どもに対して「即時にフィードバック」することも大切なポイントです。その際,正解しているか,していないかということだけでなく,具体的にどういうところがよかったのかを即座に返してあげることで、生徒自身の中で良いモデルを作り上げていくことが可能となるでしょう。
例・具体的なフィードバック
「正解!」よりも ➡ 「今の発言のこういうところがよかった!」
このように具体的に「なにがどうだったのか」と評価をしてあげることによって、生徒自身の中で何が良いのかイメージがつきやすくなります。