発達障害の概要
- 発達障害
発達障害とは、脳の一部に障害を持って生まれて、低年齢時にその症状が現れます。そのため本人が社会的に困難だと感じたり、生活に支障が出てしまったりする場合があります。
しかし、脳の障害のため外見からはなかなか判断することができません。
また、生まれつきの脳の障害のため、しつけの問題などで起きるという事は全くありません。
一概に発達障害といえど様々なタイプがあり、複数のタイプを持っている場合も少なくありません。
また、障害のタイプごとに特徴が重なるところがあるため判断が難しく、診察した先生や時期により診断名が異なることがあります。
発達障害はあくまでもその人の個性の一つであり、もし何か生活面で不便に感じることがあるならばそれを周りの方々とも協力しながら改善することが必要だと思います。
発達障害の様々なタイプ
- ADHD(注意欠如多動性障害・注意欠如多動症)
- LD(学習障害・学習症)
- 自閉症スペクトラム障害・自閉スペクトラム症
ADHD(注意欠如多動性障害・注意欠如多動症)
ADHDはAttention deficit hyperactivity disorderの略称です。
ADHDとは文部科学省の定義によれば
「ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。」
とされています。
つまり年齢や発達に不釣りあいな不注意、多動性、衝動性のいづれか1つ以上を特徴とする発達障害です。
これらの症状によって日常生活や学習に支障をきたしてしまいます。
具体的には、
- 不注意
- …気が散ってしまい活動に集中できない。物をなくしやすい。順序を立てて活動に取り組むことができない、勉強でうっかりミスをしてしまう。
- 多動性
- …じっとしていられない。落ち着きがない。おしゃべりが止まらない。
- 衝動性
- …順番待ちができない。思いついたらすぐ行動してしまう。感情のコントロールができない。
7歳までに以上のような症状が現れますが、思春期を過ぎたころからは目立たなくなることが多いです。
また有病率は学齢期の子どもで3~7%ほどであり、男性のほうが女性よりも数倍高いといわれています。
意識的に予防しようと試みても以上のような症状があらわれてしまい、それにより両親や教師に怒られ、自分はだめなんだという否定的な自己イメージを持ってしまい生活がつらくなることがあります。
LD(学習障害・学習症)
LDはLearning DisorderもしくはLearning Disabilitiesの略称です。
LDとは文部科学省の定義によれば
「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。」
とされています。
つまり、全体的に知的発達には遅れはないものの、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論するのうちの特定のことが著しく苦手であるということです。
またLDの子どもは視覚的な情報処理が苦手なため難しい図形問題が苦手であったり、手先が不器用であったりします。
さらに、注意力や集中力がなかったり、落ち着きがなかったりします。
有病率は5%ほどであり、読みの苦手に関しては男性のほうが女性より数倍高いといわれています。
自閉症スペクトラム障害・自閉スペクトラム症
以前は自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害と呼ばれていたものが2013年5月に新しい診断基準となり一つに統合されました。
これらの障害は基本的には同じ障害単位です。そのため、これらを分けるのではなく、スペクトラムという連続体を意味する単語を使用して「自閉症スペクトラム障害・自閉スペクトラム症」に統合されました。
具体的には、
- 相互的な適切な対人関係の障害
周りの子に無関心。目が合いにくい。他の子と遊ばない。興味のあるものを見せびらかしたり、持ってきたりしない。 - コミュニケーションの障害
言語の発達に遅れがある。会話がうまくできない。(まったく話さない、一方的に話す)オウム返しが多い。人の声に反応しない。 - 思考や行動の柔軟性が未熟
興味のパターンが強く決まっている。物事の手順に決まったやり方があり融通が利かない。奇妙な運動の癖がある。常同的動作がある。
有病率は1%程度と言われています。