目が合いにくい、後追いしない…発達障害と愛着の関係
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みなさんは『愛着』という言葉を聞いて何を思い浮かべますか?
愛着(アタッチメント)は心理学的には、「子どもが特定の人に対して持つ情緒的な結びつき」のことをいいます。(ボウルビィ 英 精神科医)
・特定の養育者に抱っこされるとほほえむけれど、他の人だと泣いてしまう
・特定の養育者の後を追いかけたり、抱きつこうとする
小さなお子さんによく見られる後追いや人見知りも養育者との愛着(アタッチメント)が形成されているからこそ見られる行動です。
子どもの幼児期における愛着の形成は、他者に対する基本的信頼感を育て、その後の心の発達や人間関係に大きく影響すると言われています。
愛着形成は人が世の中に適応して生きていく上で、無くてはならないものです。
では愛着はどのように形成されるのでしょうか?
実は愛着形成は乳児の頃から日々のお世話の中で形成されていくものなのです。
感覚の共有
大人は、赤ちゃんが初めのうちはなぜ泣いているのかわかりませんが、回を重ねることによりどんな状況を不快に感じているのか分かるようになってきます。
大人がその不快に対応することで、赤ちゃんも自分の不快の原因を知ることになります。
これを繰り返していくことで、赤ちゃんと大人の間で感覚の共有が成立していきます。
情動の共有
赤ちゃんは未知の世界に出会い不安になった時、慣れた大人にくっつくことで安心を得ようとします。
そこで、「安心」という情動の共有がなされます。
関心の共有
たとえば、散歩中にする声かけで「お花があるね」や「わんわんがいるよ」と言うことはあっても、「ごみくずだね」や「タイヤがくるくる回っているね」と言うことはあまりないと思います。
大人は自分の知っている物への関心を分かち合おうと無意識に声かけを行っています。
そこで子どもは意味のあるものと意味の無いものを区別していきます。
行動の共有
上の3つの共有を行っていくことで、大人の身体や動きも自分と同じものだという感覚が生まれ、「同じしぐさをしよう」という『模倣』が現れてきます。
このように大人側からの日々の声掛けやお世話の中で愛着形成の土台ができあがっているのです。
愛着には個人差がある
ここまで愛着の形成についてお話をしてきましたが、愛着の力は生まれつき個人差があります。
ひとりでおとなしくしている赤ちゃんもいれば、すぐに泣いて養育者を求める赤ちゃんもいます。
特に、発達障害の子どもたちは、相手の気持ちを読み取ることが苦手なこともあり愛着形成がうまく出来ないことがあります。
そのため、自分の不安や不快を自分で解決しなければならない状態にあり、あらゆる場所が不安に感じたり、大泣きしながらも初めて会う人にしがみついたりします。
もともと持っている力が弱いから愛着形成はできないのかと言われるとそうではありません。
愛着の力が弱くても、子どもはゆっくりと発達をします。関係の発達の遅れに気づいた時点で、子どもが養育者に対して安心感・信頼を持てるよう、声掛け接し方を少し変えてみると良いでしょう。
愛着形成を促すためにできること
では、どうやって愛着形成を促したらいいのでしょうか。
ステラ幼児教室で取り組んでいることも踏まえて例をいくつか紹介します。
子どもが落ち着いて気分良くしている場面につきそう
一人でミニカーを並べていたら横に行き、一緒に並べる
絵本でねこを見ていたら、こちらから「ネコだね」「ニャーニャー」と声をかけてみる
ただ見守るのではなく、子どもが嫌がらない範囲で真似して遊んでみましょう
物理的に子どもに触れている時間を長くする
手をつないだり、寝る時は寝入るまでトントンさすったり、座っているときも体の一部を接触させておく。
(感覚過敏のある場合は無理に身体接触しようとはせず、子どもの嫌がらない場所から触れ、少しずつ慣らしていくといいでしょう)
子どもの発声を真似たり、子どもからの呼びかけがあった時は必ず反応する
子ども「だっだっだあ」大人「だっだっだあ、だねぇ」と声を真似る
子どもが手を引き「うー」と言ったら「うーなの。なにが欲しいのかなあ」と反応を示す
声掛け接し方すべてをいきなり変えるのは大変!という方もいるでしょう。そういう方は遊んでいる間、寝る前の絵本の時間、お風呂に一緒に入っているときなど短時間から取り組んでいってみると良いでしょう。
何よりも子どもが「自分のことを分かってくれている!」と感じられる関係性を作っていくことが大切です。