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高機能自閉症やアスペルガー症候群とは?わかりやすく解説

2025.03.02
  • 発達障害
  • ASD(自閉症スペクトラム)

高機能自閉症やアスペルガー症候群は、自閉スペクトラム症(ASD)の一種であり、知的発達に遅れがないタイプの発達障害です。しかし、その特徴や困りごとは人によって異なり、理解が難しいと感じる方も多いかもしれません。

そこで本記事では、高機能自閉症とアスペルガー症候群のそれぞれの特徴や、高機能自閉症の子どもの支援や接し方についてわかりやすく解説します。特性を理解して、本人が持つ力を最大限に活かせる環境を整えるためのヒントをお伝えします。

高機能自閉症やアスペルガー症候群とは

高機能自閉症やアスペルガー症候群は、知的発達に遅れがない自閉症スペクトラム障害(ASD)の一部とされています。現在、これらの診断名は「自閉スペクトラム症(ASD)」に統一されましたが、特性を理解する上で、それぞれの特徴を知るのは重要なことです。

子どもと大人では、困りごとの現れ方が異なることもあるため、本記事ではそれぞれの視点で説明していきます。

高機能自閉症の特徴

高機能自閉症とは、知的発達に遅れがないものの、社会性やコミュニケーションに課題を抱える自閉症の一形態です。3歳頃までに特徴が現れることが多く、日常生活や学校生活で困難を感じることがあります。

子どもの場合

●言葉の発達がゆっくり:会話が苦手で、適切な言葉が出てこないことがある
●対人関係が難しい:友だちと遊ぶのが苦手で、一人遊びを好むことが多い
●こだわりが強い:特定の遊びや習慣に強く執着し、変更を嫌がる
●感覚の敏感さ:特定の音や光、触感を過度に嫌がることがある

大人の場合

●会話のキャッチボールが苦手:雑談や冗談を理解するのが難しい
●予定の変更がストレス:急な予定変更や環境の変化に適応するのが難しい
●興味の範囲が狭い:特定のことへの深い知識を持つがそれ以外の興味が薄い
●職場での対人関係:仕事のルールは守るが、柔軟な対応には戸惑ってしまう

参考元:文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/shiryo/attach/1361233.htm

アスペルガー症候群の特徴

アスペルガー症候群は、高機能自閉症と同様に知的発達に遅れがなく、社会性やコミュニケーションに特徴が見られる発達障害です。最大の違いは、言語発達の遅れがない点です。

子どもの場合

●会話が一方的になりやすい:興味のある話題を延々と話し続けてしまう
●友だちとの関わりが苦手:気持ちを察することが難しく、トラブルになりがち
●ルールを厳格に守る:柔軟な対応が難しく融通性がなく、集団行動が苦手
●感覚過敏や鈍感さがある:大きな音や特定の食べ物の食感が苦手なことが多い

大人の場合

●対人トラブルが多い:空気を読むのが苦手で、職場で誤解されることがある
●言葉の文脈が理解しづらい:冗談や比喩表現がわかりにくく、ストレートに受け取る
●特定の分野への強いこだわり:仕事や趣味で専門性の高い知識を持つが、他のことには関心を示さない
●感覚の敏感さ:服の素材や音、光に対して強い不快感を持つ場合がある

参考元:厚生労働省
https://kenkoukyouikusidousyakousyuukai.com/img/file164.pdf

それぞれの違うところ

主な違いは、幼少期の言語発達の差にあります。

高機能自閉症では言葉の発達の遅れが見られるのに対し、アスペルガー症候群では言語の遅れがありません。しかし、両者とも知的発達に遅れはなく、社会的コミュニケーションや特定の興味・行動に特徴が見られます。

現在では、これらの診断名は「自閉スペクトラム症(ASD)」に統一され、個々の特性に応じた支援が求められています。理解と適切なサポートが、これらの特性を持つ方々の生活を豊かにする鍵になるでしょう。

高機能自閉症の子どもの支援や接し方

高機能自閉症の子どもは、それぞれ異なる特性を持ち、環境や接し方によって大きく成長することができます。大切なのは、その子の特性を理解し、安心して過ごせる環境を整えることです。

ここでは、日常生活でできる具体的な支援方法や、周囲との関わり方について解説します。家庭や学校での実践しやすい工夫を紹介しながら、子どもが自信を持って成長できるサポートのポイントをお伝えしていきます。

個々の特性に応じた対応

高機能自閉症の子どもは、それぞれ異なる特性を持っており、みんな同じ支援ではなく個々に合わせた対応が求められます。

たとえば、言葉での指示が理解しにくい子どもには、視覚的なスケジュールやイラストを使って伝えたり、音や光に敏感な子どもには、できるだけ静かで落ち着いた環境を整えたりなどが大切です。支援計画は、その子の得意なことや苦手なことを把握した上で作成し、適切なアプローチを取ることが求められます。

本人の特性を尊重しながら、無理のない形で成長を支えていくことが重要なのです。

変更などはわかりやすい方法で伝える

高機能自閉症の子どもは、急な予定変更や環境の変化に対して不安を感じやすいため、スケジュールや変更事項をわかりやすい方法で伝えることが大切です。変更がある場合は事前にお知らせし、理由を本人が理解しやすいように説明してあげましょう。

たとえば「明日はいつもと違う先生が来るよ」と言葉だけで伝えるのではなく、「明日」「先生の顔写真」などを並べたカードを見せるなど、視覚的に伝えるとより安心して受け入れやすくなります。

少しずつ変化に慣れる経験を積むことで、柔軟性を身につけることもできますが、無理をせず本人のペースに合わせながら進めることが大切です。

保護者や周囲の理解と協力

高機能自閉症の子どもが安心して成長するためには、家庭だけでなく、学校や地域、支援者の協力が不可欠です。

保護者と教師、支援者が定期的に情報を共有し、一貫した対応をとることで、子どもが混乱することなく落ち着いて生活できます。また、周囲の人が高機能自閉症について学び、正しく理解することも大切です。たとえば、感覚過敏による不快感を周囲が理解すれば、学校での環境調整などがスムーズに進むでしょう。

支援機関や専門家のアドバイスを活用しながら、子どもにとって最適な環境を整えていくことが必要です。

社会的適応力へのサポート

高機能自閉症の子どもは、対人関係の築き方に難しさを感じることが多いため、社会的なスキルを身につけるためのサポートが重要です。

ソーシャルスキルトレーニングを取り入れることで、挨拶の仕方や適切な会話の方法などを学ぶことができます。また、本人が得意とする分野で成功体験を積み重ねることも、社会的な自信をつける上で効果的です。

ですが、無理に周囲のペースに合わせるのではなく、本人の個性を大切にしながら、少しずつ社会との関わり方を学んでいくことが大切です。

支援者が温かく見守ることで、子どもは安心して新しい挑戦に取り組めるようになっていきます。

高機能自閉症に関する記事のまとめ

高機能自閉症やアスペルガー症候群は、知的発達に遅れがない自閉スペクトラム症(ASD)の一種です。高機能自閉症は幼少期の言語発達に遅れが見られることが多く、アスペルガー症候群は言語の発達に遅れがない点が主な違いです。

支援や接し方としては、個々の特性に応じた対応が重要であり、視覚的なサポートや環境調整が効果的です。また、一貫した生活リズムを整えることで安心感を持たせ、予測可能な環境を作ることが大切です。さらに、保護者や周囲の理解と協力を深めることで、より良い支援につながります。社会的適応力を高めるためには、ソーシャルスキルトレーニングや成功体験の積み重ねが有効です。

子どもの個性を尊重しながら、無理をしすぎずに温かく成長を見守ることが大切です。

参考元
文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/01_m.htm
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/e-learning/hattatsu/characteristic.html

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