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勉強が苦手な発達障害の子どもへの学習サポート方法

2024.10.09
  • ASD(自閉症スペクトラム)
  • 発達障害
  • ADHD(注意欠如多動性障害)
  • LD(学習障害)
  • 支援方法・家庭での過ごし方

発達障害の子どもの個性や特性は一人ひとり異なります。
そのため、子どもの個性や特性を理解した上で、個々に合わせた適切な学習サポート方法を選択することが大切です。
このコラムでは、発達障害の特徴や学習方法を紹介しています。
子どもの特性に合った方法を見つけ、学習への苦手意識を軽減し、学びの楽しさを感じてもらえるようサポートしましょう。

発達障害にはどのようなものがある?

発達障害には、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)、自閉スペクトラム症(ASD)があります。
注意欠如・多動症(ADHD)は、不注意や多動性、衝動性の症状がみられる発達障害です。注意力が散漫になりやすく、じっと座っていることが難しいことや、衝動的に行動してしまう傾向があります。
学習障害(LD)は、読む、書く、計算するなどの学習に困難を伴う発達障害です。読み書き障害、算数障害、その他の学習障害などがあります。
自閉スペクトラム症(ASD)は、コミュニケーションや社会性の困難、こだわりや感覚過敏などの症状がみられる発達障害です。対人関係を築くことが難しかったり、ルーティンにこだわりが強かったり、感覚に過敏な傾向があります。
これらの他に、チック症や吃音なども発達障害に含まれますが、今回はADHD、LD、ASDについて取り上げていきます。

発達障害の特徴

発達障害の子どもは、学習に困難を抱えることが多くあります。その原因は、学習障害(LD)、注意欠如・多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)など、障害によって、また、個々の持つ特性により、苦手な部分や学習でついていけない部分は異なります。
子どもの個性や特性を理解し、周りの理解と協力を得ながら、子どもをサポートしていきましょう。

注意欠如・多動症(ADHD)の特徴

注意欠如・多動症(ADHD)は、不注意と多動性・衝動性の2つの症状群が特徴的な発達障害です。どちらも症状の程度は個人差が大きく、必ずしもすべての症状が現れるわけではありません。

不注意の特徴

• 忘れ物が多い
• 指示が理解できない
• 集中力が続かない
• ミスが多い
• 片付けが苦手

多動性・衝動性の特徴

• じっとしていられない
• 落ち着きがない
• 思いついたことをすぐに口に出してしまう
• 順番を待てない
• 感情の起伏が激しい

これらの特徴のため、学習に集中できない、指示がわからなくなる、ケアレスミスが多くなるなど、学習に支障をきたすことがあります。
しかし、必要なサポートを受けたり、学習の仕方を工夫したりすることで、子どもの状況を変えることができます。

学習障害(LD)の影響

学習障害(LD)は、知的能力に問題はないにもかかわらず、読む、書く、計算するなどの学習に困難さを抱える障害です。LDの影響は、主に以下の4つの領域に現れます。

1. 読み(読字障害:ディスレクシア):文章を読むスピードが遅い、正しく読めない、文章の内容を理解することが難しい
2. 書き(書字障害:ディスグラフィア):文章を書くことが遅い、スペルミスが多い、文法の間違いが多い
3. 計算(計算障害:ディスカリキュリア):数字の認識が難しい、計算ミスが多い、数学の概念を理解することが難しい
4. 言語:単語を思い出すことが難しい、会話についていくことが難しい、自分の考えをうまく伝えることが難しい

これらの影響は、学習だけでなく、日常生活や社会生活にも影響を与えることがあります。例えば、LDを持つ子どもは、学校の授業で苦労したり、友達とのコミュニケーションに問題を抱えたり、就職活動に困難を感じたりするかもしれません。
しかし、LDの影響は人によって大きく異なります。適切な支援を受けることで、LDを持つ子どもも社会参加することができるようになります。

自閉スペクトラム症(ASD)の特性

自閉スペクトラム症は、社会性やコミュニケーション、想像力や興味関心の偏りなどの特性があります。具体的には、以下のような特徴が見られます。

• 社会性: 周りの人の気持ちや考えが理解しづらい、人との距離感がつかめない、表情や声のトーンが読み取りづらい、友達関係がうまく築けない
• コミュニケーション: 一方的に話をしてしまう、質問の意図が理解しづらい、会話の内容が合わなくなる、表情やジェスチャーが少ない
• 想像力: 経験していないことを想像したり空想したりすることが苦手、ルールや手順を理解しづらい、こだわりが強い

これらの特性は、一人ひとりによって強弱や組み合わせが異なるため、個々に合わせたサポートが必要となります。

発達障害に合わせた勉強方法とは?

発達障害の子どもにとって、勉強は大きな困難を伴うことがあります。その困難さのため、苦手意識を持ったり、学習自体が嫌いになったりする二次障害が生じることがあります。
しかし、適切なサポートがあれば、学習意欲を高め、学習姿勢をつけることができます。ここでは、発達障害に合わせた勉強方法について、いくつかのポイントをご紹介します。

家庭教師や塾を活用する

発達障害の子どもには、個別の学習サポートが効果的な場合があります。
家庭教師や塾は、一人ひとりのペースや特性に合わせて学習をサポートしてくれるため、学校での授業についていくことが難しい子どもや、特定の教科が苦手な子どもに適しています。
家庭教師や塾のメリットは、以下のとおりです。

• 一人ひとりに合わせた指導
• 苦手克服のための個別指導
• 学習習慣の改善
• 親の負担軽減

発達障害を持った子どもの場合、家庭教師や塾を選ぶ際には、子どもの特性に合わせた専門的な指導ができるか、実績があるかなどを確認することが大切です。また、子どもと講師や先生との相性も重要なので、体験授業などを受けてから決めることをおすすめします。

特別支援学級や通級指導教室を利用する

発達障害の子どもへの学習サポート方法として、特別支援学級や通級指導教室の利用があります。

特別支援学級は、少人数で指導にあたるため、理解しやすい教材や子どもの特性に合わせたサポートを受けながら、自分のペースで学習を進められます。
通級指導教室は、通常のクラスに在籍しながら、指導を受けられます。しかし、学習の遅れを取り戻すことを目的としていないため、通常学級の学習に参加できる子どもが、学習上や生活上のある特定の支援が必要な場合、サポートを受けられます。

発達障害の子どもが学習しやすい環境を整えることで、学習に対する意欲や集中力が向上し、持っている力を伸ばすことができます。

学校に合理的配慮をお願いする

発達障害のある子どもは、学校生活や学習面でさまざまな困難を抱えています。
そのため、学校の授業についていくことが難しいなど、学習に支障をきたす場合、学校に配慮をお願いすることも一つの方法です。
配慮の内容としては、以下のようなものが挙げられます。

• 座席の配慮: 後ろの方の席は周りに気が散りやすいため、集中しやすい前の場所に座らせてもらう。
• 教材の配慮: 必要に応じて、使いやすい道具や、理解しやすいように視覚的にした教材や、タブレット学習などのデジタル教材の活用、文字を読み書きやすいように工夫したプリントなどを用意してもらう。
• 試験や評価の配慮: 別室での受験や、口頭試問やレポートなど、多様な試験や評価方法を取り入れてもらう。

発達障害の子どもへの学習サポートは、家庭や学校が連携して行うことが大切です。
個々の発達障害の特徴を理解した、適切なサポートを受けることで、発達障害のある子どもは安心して学校生活を送ることができ、自分の可能性を伸ばすことができます。

学習の環境を整える

発達障害のある子どもには、他の子どもたちと同じような一般的な環境が合わない場合があります。子どもの特性に合わせた環境を見つけ、勉強しやすい環境を整えることは、学習サポートにおいて非常に重要です。
以下に、学習環境を整えるためのポイントをリストアップしました。

・静かで集中しやすい空間を作る
周りの音が少ない、整理整頓された空間で勉強することで集中力が向上します。

・適度な照明と机の配置
明るすぎず暗すぎない照明や、姿勢を正しく保てる机と椅子の高さなどの配置が大切です。

・刺激になるものを排除する
テレビやゲーム機など、目に入ると気になるものや勉強に集中できないものを、視界からなくすようにしましょう。

・必要に応じて補助教材を活用する
視覚教材やタイマーなど、子どもの理解を助ける補助教材を活用しましょう。

・適度な休憩を取る
集中力が途切れたら、短時間でも休憩を取ることでリフレッシュできます。
これらのポイントを参考に、子どもに合った学習環境を整えましょう。

学習を習慣つける

発達障害のある子どもは、 計画性や時間管理が苦手な傾向があります。そのため、 学習を習慣づけることが非常に大切です。
学習習慣をつけるためのポイントは、以下の通りです。

• 決まった時間に学習する: 毎日、同じ時間帯に学習することで、体内時計を整え、学習モードに入りやすくなります。

• 短い時間から始める: 最初から長時間学習するのは難しいので、10分程度から始めて徐々に時間を伸ばしていきましょう。

• 達成しやすい目標設定をする: 大きな目標ではなく、小さな目標を立てて達成していくことで、学習へのモチベーションを維持できます。

• 学習環境を整える: 学習に集中しやすい、静かな場所を用意しましょう。また、テレビやゲーム機など、学習の邪魔になるものは片付けましょう。

• 親がサポートする: 親が学習を管理し、一緒に学習するなど、サポートすることで、学習習慣を定着させやすくなります。

その他、発達障害の子どもの学習習慣をつけるための工夫としては、以下のようなものがあります。

• 視覚的なスケジュール表を作成する: 紙やホワイトボードに、時間割や学習内容を書き出して、視覚的に分かりやすくする。

• タイマーやアラームを使用する: 時間管理に役立つので、学習開始や終了時間を知らせてくれるように設定する。

• ご褒美を設定する: 目標を達成したら、好きなお菓子や遊びなど、ご褒美をあげることで、学習へのモチベーションを高める。

発達障害のある子どもは、学習に苦手意識を持ちやすいので、できたことを褒めながら、意欲ややる気がわくように、根気強くサポートしていきましょう。

適した勉強法を見つける

発達障害のある子どもは、学習面で苦労することが多くあります。一般的な学習方法がうまくいかない場合、個々に合わせた勉強方法を見つけることが大切です。
適した勉強法は、子どもの特性や得意・不得意によって異なります。まずは、子どもの特性を理解し、どのような学習方法が効果的なのかを検討しましょう。

例えば、注意欠如・多動症(ADHD)の子どもはが集中力が持続しにくい場合、短い時間で区切って学習することが効果的です。
また、学習障害(LD)の子どもは、読み書きに困難を抱えることがあるため、視覚的な教材や音声教材を活用するなどの工夫が必要です。
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは、視覚優位で理解する子どもの場合は視覚的な教材を用意してみるとよいでしょう。また、イメージすることが苦手でも、パターンで覚えやすい子どもには、パターン化して暗記できるようにするなどの工夫をすることも有効です。

個々の学習ペースはさまざまです。学習に苦手意識が強い発達障害の子どもは、自信を失ったり、自己肯定感が低くなりがちです。
子どもの理解度に合わせ、子どもの得意なことを活かし、スモールステップで学習と成功体験を積み重ね、子どもの意欲や自信を高めていけるようにしていきましょう。

親の理解とサポート

発達障害の子どもの学習をサポートする上で、最も重要な要素の一つが親の理解とサポートです。
発達障害の子どもは、一般の子どもと比べて学習が苦手であったり、行動に特徴が見られたりすることがあります。
まず子どもの特性を理解し、受け入れることから始めましょう。子どもの特性を理解することで、子どもの行動や発言の理由が分かるようになり、適切な対応がしやすくなります。

生活面では、子どもの行動を理解しながら、適切な声かけやルール作りをすることが必要です。
ついつい子どものできないことに目が行きがちですが、少しでもできたことを褒めたり、できるだけ肯定的な言葉かけをしたりするなど、子どもが自信を持ち、前向きに取り組みができるようすることも大切です。
発達障害の子どもの成長には、親の愛情と理解、そして根気強さが必要です。
親が子どもの味方であることを伝え、一緒に成長していくことができるといいですね。

発達障害の子どもへのサポートで大切なこととは?

発達障害の子どもへの学習サポートにおいて、次のようなことが大切です。

• 特性を理解する
発達障害には、ADHD、LD、ASDなど様々な種類があります。それぞれの特性を理解した上で、サポート方法を検討することが大切です。

• 個々のペースに合わせて学習を進める
発達障害の子どもは、学習速度が遅かったり、理解に時間がかかったりする傾向があります。そのため、個々のペースに合わせて学習を進めることが大切です。

• 視覚的な教材を活用する
発達障害の子どもは、視覚的な情報の方が理解しやすい傾向があります。そのため、イラストや図表など視覚的な教材を積極的に活用しましょう。

• スモールステップで学習を進める
発達障害の子どもは、一度にたくさんの情報を処理することが難しい傾向があります。そのため、スモールステップで学習を進め、一つ一つのステップを確実に理解させることが大切です。

• 成功体験を積み重ねる
発達障害の子どもは、失敗体験を積み重ねると自信を失い、学習意欲が低下してしまう傾向があります。そのため、成功体験を積み重ね、自信を持たせることが大切です。

• 親の理解とサポート
発達障害の子どもへの学習サポートにおいて、親の理解とサポートは非常に重要です。親が子どもの特性を理解し、適切なサポートを行うことで、子どもの学習意欲を高めることができます。

これらのポイントを意識し、発達障害の子どもが無理なく学習を進めることできるようにサポートしていきましょう。

まとめ

発達障害のある子どもは、学習に苦手さを感じることがあります。しかし、適切なサポートがあれば、多くの発達障害の子どもは学習に意欲を持ち、学力を伸ばすことができます。

学習をサポートする上でのポイントは以下のようになります。

• 子どもの理解度と特性に合わせた教材や学習方法を選択する。
• スモールステップでの学習を心がけ、成功体験を積み重ねる。
• 親や学校や利用している関係機関など周囲の大人で連携をし、サポート体制を構築する。
• 子どもが学びやすい環境を整える。

この他にも、発達障害の特性や個別の事情によって、必要なサポートは異なります。そのため、子どもの状態に合わせて、適切な支援方法を見つけることが大切です。

発達障害の子どもの学習サポートの方法には、次のような方法があります。

• 家庭教師や塾を活用する
• 特別支援学級や通級指導教室を利用する
• 学校に配慮をお願いする
• 学習の環境を整える
• 学習を習慣づける
• 適した勉強法を見つける
• 親の理解とサポート

発達障害の子どもへの学習サポートは、親や学校や子どもが利用している関係機関など、まわりの大人による協力によって行うことが望ましいです。まわりの大人が子どもの特性を理解し、子どもに合わせた適切な学習方法や支援方法を提供し、子どもの学習をサポートしていきましょう。

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