発達障害と偏食の関係性とは?偏食の原因とサポート方法を紹介
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「子どもの好き嫌いが多く、なかなか食べてくれない……」「特定の食べ物しか受け付けず、栄養バランスが心配」発達障害を持つ子どもの偏食に悩む方も多いかもしれません。
では、なぜ発達障害の子どもには偏食が多いのでしょうか?また、どのようなサポートをすれば、食べられるものを増やし、楽しく食事ができるようになるのでしょうか?
この記事では、発達障害の子どもに見られる偏食の原因を解説し、具体的なサポート方法をご紹介します。
目次
- 発達障害の子どもの偏食:原因
- 発達障害の子どもの偏食:サポート
- 偏食と発達障害に関するまとめ
発達障害の子どもの偏食:原因
発達障害の子どもが偏食をする背景には、さまざまな要因が考えられます。単なる好き嫌いだけではなく、感覚過敏やこだわりの強さ、食事の環境などが関係していることが多いのです。
たとえば、「特定の食感が苦手」「匂いが気になって食べられない」「見た目が少しでも違うと食べたくない」など、発達障害の特性が偏食を引き起こしてしまうことがあります。また、自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)では、偏食の特徴にも違いが見られます。
そこで本項では、発達障害の子どもが偏食をする主な原因について解説していきます。
発達障害と偏食の関係性
発達障害の概要
自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)など、脳機能の発達が関係する障害や特性を指します。これらの特性は、コミュニケーションや行動、感覚の受け取り方に影響を及ぼすことがあります。
偏食の概要
特定の食べ物を極端に好んだり、逆に避けたりする食習慣のことを指します。発達障害の子どもたちの中には、特定の味や食感、匂いが苦手で、食べられる食品が限られてしまう場合があります。
発達障害を持つ子どもは、感覚過敏やこだわりの強さなどの特性から、偏食が見られる傾向があります。
実際に、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもの偏食は、定型発達の子どもと比較して割合が高く、食べられない食材数が多いなど、偏食の程度が強いという特徴があるという研究結果がでています。
参考元:J-STAGE 論文 自閉スペクトラム症障害児の食事に関する問題の検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdr/16/2/16_175/_pdf
ASDとADHDで異なる傾向
自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)では、偏食の傾向や特徴が異なる場合もあります。
ASDの子どもは、「感覚過敏や強いこだわり」から特定の食品を避ける傾向があります。一方、ADHDの子どもは、「注意力の散漫さや衝動性」から食事に集中できず、食事の時間や量などにムラが出る傾向が強いです。これらの違いを理解し、それぞれの子どもに合った対応が求められます。
発達障害の食事への影響
発達障害を持つ子どもの中には、食事に関して独自の偏った反応を示すことがあります。
これは、感覚の特性や行動パターンが食習慣に影響を及ぼすためです。たとえば、特定の食材の味や食感、匂いに敏感であるため、食べられるものが限られてしまうことがあります。また、食事の見た目や配置に強いこだわりを持つこともあり、これらが偏食の原因となることもあります。
感覚過敏と偏食の関係性
発達障害を持つ子どもの中には、味覚や嗅覚、触覚などの感覚が強い傾向もあります。
この感覚過敏により、特に触覚や視覚と関連が強く、食感や見た目で食べ物を拒否してしまうこともあります。たとえば、口の中での触感に過敏な場合、特定の食感を持つ食品を避けてしまうかもしれません。このような感覚の違いが、偏食の原因となることがあります。
強いこだわりと偏食の関係性
発達障害を持つ子どもの中には、特定の物事に強いこだわりを持つ傾向もあります。
この強いこだわりは、食事の内容や食べ方にも現れることがあるのです。たとえば、特定の形状や色の食品しか受け入れなかったり、毎回同じメニューを好むこともあるでしょう。これらのこだわりが、食事のバリエーションを制限し、偏食につながることがあります。
発達障害の子どもの偏食:サポート
「このままでは栄養が偏ってしまいそう…」「どうすれば食べられるものを増やせるのか…」など子どもの偏食に悩む方にとって、食事の時間がストレスになってしまうこともあるかもしれません。
ですが、無理に食べさせるのではなく、子どもの特性に合わせた工夫をすることで、少しずつ食べられるものを増やしていくことができる場合もあります。
ここでは、発達障害の子どもの偏食をサポートする具体的な方法をご紹介します。
食べられない理由を理解する
まず、子どもが特定の食べ物を避ける理由について、話を聞いて一緒に考えてみましょう。
視覚、嗅覚、味覚、触覚など、これらのどの感覚が強く影響しているのかを探ることで、苦手の原因が見えてくることがあります。たとえば、特定の匂いや食感が苦手である場合、その部分の感覚に対する工夫が必要です。子どもと一緒に話し合い、少しずつ新しい食材に挑戦する意欲を育てることが大切でしょう。
味、見た目、感触を工夫する
子どもが苦手とする食材でも、調理法や見た目を工夫することで受け入れやすくなる場合もあります。
たとえば、すり潰したり、細かく刻んだり、好きな食べ物に混ぜたりすることで、食べやすくすることが可能です。また、揚げる、煮るなどの調理法を変えることで、食感や味わいが変わり、興味を引くことができます。子どもと一緒に料理を楽しみながら、新しい食材に触れる機会を作ることも効果的です。
少しずつ試して食べる練習をする
新しい食材や苦手な食べ物を克服するためには、少しずつ一歩ずつ練習していくことも大事です。
最初は一口だけ試してみるなど、小さな目標を設定し、成功したらしっかりと褒めてあげましょう。このように少しずつでも慣れていくことで、子どもの自信にもつながります。無理のない範囲で、繰り返し挑戦することも大切です。
それでも難しい場合は代替えする
どうしても特定の食材が食べられない場合は、無理をせず、同じ栄養素を含む他の食材やサプリメントで補うことも検討しましょう。
食事のサポートは、子どものペースに合わせて、焦らず取り組むことが大切です。無理に食べさせようとすると、食事自体が根本的に嫌いになってしまう可能性もあります。子どもと家族にとって食事が楽しい時間となるよう、柔軟に対応していきましょう。
子どもの偏食に対する取り組みは、焦らず、少しずつ小さく進めていくことが大切です。時には、専門家や支援機関とも連携しながら、子どもに合った方法を見つけていきましょう。
偏食と発達障害に関するまとめ
発達障害を持つ子どもの偏食は、単なる好き嫌いだけではなく、感覚過敏やこだわりの強さなどの特性が影響していることが多いです。
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは特定の食感や見た目に敏感で、特定の食品を避ける傾向があります。一方、注意欠如・多動症(ADHD)の子どもは、その特性から食事に集中できず、食事のムラが出やすい特徴があります。
このような偏食に対して、無理に食べさせて克服するのではなく、まずは「なぜ食べられないのか?」 を理解し、その上で味や食感、見た目を工夫することが効果的です。
また、一口だけ試すなど小さな目標を設定し、成功したらしっかり褒めることで、自信を持たせることも大切です。それでも難しい場合は、同じ栄養素を含む別の食材やサプリメントを活用する方法もあります。
子どものペースに合わせながら、少しずつ食事の幅を広げていきましょう。食事は本来、楽しい時間であるべきもの。焦らず、できることから取り組み、必要に応じて専門家の力を借りることも検討してみてください。
参考元
日本小児神経学会
https://www.childneuro.jp/general/7992/
J-STAGE 論文
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdr/16/2/16_175/_pdf
各医療機関 等