とても繊細な人~「HSP」の性質と、「HSP」の子ども(「HSC」)の理解について
- 支援方法・家庭での過ごし方
皆さんは「HSP」という言葉を聞いたことがありますか?
10数年前頃より日本で「HSP」についての本が出始めましたが、この言葉がよく聞かれるようになったのは最近のことです。
「HSP」とは「Highly Sensitive Person」の略で、「とても繊細な人」という意味です。
これは病気ではなく、人の気質を表す名称で、5人に1人がHSPであると言われています。
HSPの性質に、「DOES」というものがあります。
・Depth of processing:深く物事を考える
・Overstimulated:刺激に敏感
・Emotional reacivity and high Empathy:共感力が高い
・Sensitivity to Subtleties:感覚が鋭敏
このように、周囲の変化などによく気が付く一方、何気ない言葉に傷つくことや、強い音や光に不快感を覚えるなど、生きづらさを感じてしまいます。
HSPは、性質によって4種類に分けられます。
① HSP(内向的HSP)
人見知りで静かな環境を好む。
② HSE(外向的HSP)
人と会うのを好み、チームワークが得意。
③ HSS型HSP(刺激追求型内向的HSP)
刺激を求めるが影響を受け疲れやすい。
④ HSS型HSE(刺激追求型外向的HSP)
好奇心旺盛で行動力がある。
②④のHSEとは「Highly Sensitive Extrovert」の略で「とても敏感な外向的」、③④のHSSとは「High Sensation Seeking」の略で「高い感覚を求める」です。
注意したいのは、外向的で刺激を求めるタイプだとしても、HSPであり「繊細である」ということに変わりはない点です。
HSPの性質を持つお子さんは「HSC=Highly Sensitive Child」と呼ばれます。
HSPの人の小さい頃の話を聞いたところ
・小さいころから気持ちが敏感に揺れ動き、よく泣くので、親から「メソメソするな」と叱られ、感受性が強い自分がだめだと思ったこと
・人が多くにぎやかなところや光がまぶしいところに出かけると、頭痛や腹痛など体調を崩すことが多かったこと
・周りの様子に敏感に反応し、人の気持ちに入り込みやすくしんどくなってしまうので、子どものころに深く人とのかかわらないようにしようと、心のシャッターを降ろした記憶があること
・他の人が気にしないことが気になるので、自分は変だと思っていたこと
などがあったそうです。
HSCもHSP同様、他のお子さんに比べて傷つきやすい、落ち込みやすいといった面が多く見られ、大人以上に繊細で敏感です。
しかし、周りの大人から「そんなことを気にするな」とか「考えすぎだ」と言われたり、叱られたりする経験が多いと、「自分は他の人とは違う。自分はだめだ」と思い、子ども自身が悩んでしまいます。
そのため、周りの大人の対応の仕方によっては、大きくストレスを抱えたまま成長し、自己肯定感が下がったり、生きづらさを抱えたりすることがあります。
お子さんがもし、他のお子さんに比べて敏感な面を持っていると思われたら、周囲の大人がお子さんの話に耳を傾け、お子さんのことを受けとめて理解していくことや、味方であることを示していくことが大切だと思われます。
参考:NHK健康チャンネル、新宿ストレスクリニック、yururi、武田製薬株式会社、HR BLOG