アーレンシンドロームの特徴や原因、対処法とは?
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アーレンシンドロームとは、視知覚の障害の一つで、光に対して過敏に反応したり、文字が歪んで見えたり、文字が動いて見えるなどの症状が見られる、生まれながらに見え方の問題が見られることを言います。
以前の記事でも「アーレンシンドローム」について取り上げましたが、今回はその特徴や原因、対処方法について、少し詳しく見ていきたいと思います。
アーレンシンドロームの特徴は?
光をまぶしがる
太陽光や蛍光灯、LEDなどの光を過度にまぶしく、不快に感じることがあります。
文字の読みづらさがある
文字が歪んで見える、欠けて見える、重なって見える、動いて見えるなど文字の見えにくさ、読みにくさがあります。
まぶしさや字の読みにくさから生じる二次障害がある
頭痛やめまい、眼精疲労、疲労感など、心身に不調を生じることがあります。
アーレンシンドロームの原因は?
まだ不明な点が多くありますが、視細胞の感受性の問題や視覚情報処理の過程での障害がある可能性が考えられています。発達障害を伴う人もいますが、知的な面は標準的だと言われています。
アーレンシンドロームと視力との関係は、一般的に学校などで測定されている5mの距離で測る「遠見視力」ではなく、30~40㎝ほどの近距離の見え方を測る「近見視力」に問題がある人が一般の人の5倍ほど多く存在するようです。
アーレンシンドロームの人に必ずしも「近見視力」に問題があるというわけではありませんが、一般の人に比べ、見え方などの視機能に問題がある可能性は高いようです。
学校の視力検査で問題がなくても、ノートや教科書などの近くが見えない子どもや、見え方が違うゆえに学力不振に陥っている子どもがたくさんいるかもしれません。
アーレンシンドロームの対処方法は?
有色レンズを装着することや、有色フィルムを使用することで見え方が改善されることがあります。有色レンズは、日本では現在、筑波大学心理・発達教育相談室に相談して作ってもらうことができます。
また、学習や読むことの困難さに対して、視覚の情報入力機能を向上させるために眼球運動などのビジョントレーニングを行うことにより、「近見視力」が改善することがあることも言われています。
文字が歪んで見える、動いて見えるなどの症状に対しても、両目で物を立体的に見る力(立体視)が弱いためと言われていますが、それもビジョントレーニングによって改善される可能性も示唆されています。
そのような「立体視」や「近見視力」は、成長によってよくなるわけではなく、アーレンシンドロームの人が年齢による改善が見られないのは、目の眼球の調整力がそのまま発達しない状態が続くためと言われています。
まとめ
子どもが見えにくさを感じていても、その見え方が当たり前と思っていることや、見えにくさを大人にうまく伝えられないこともあります。
また、文字をうまく読めないことや上手く書けないことの背景には、子どもの努力が足りないのではなく、「見え方」が関わっていることがあります。
一般的な視力だけを指標にするのではなく、どのように見えているのか、見えにくさはないかなどを周りの大人が早く気づき、専門家への相談や、有色レンズの装着、ビジョントレーニングなど、その子どもに合った適切な配慮を行っていくことが必要と思われます。
参考文献 佐藤七瀬他 アーレンシンドローム者の視機能に関する検討 LD研究 第30巻 第2号
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