感覚過敏とは?
- ASD(自閉症スペクトラム)
- 発達障害
- ADHD(注意欠如多動性障害)
- LD(学習障害)
- 支援方法・家庭での過ごし方
私たちは五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を通じて外部の情報を受け取ります。
しかし、特定の感覚に対して通常よりも過剰に反応してしまう状態を「感覚過敏」といいます。
感覚過敏の症状は個人差があり、日常生活に影響を及ぼすこともあります。
感覚過敏は発達障害(ASD:自閉症スペクトラム、ADHD:注意欠如多動性障害、LD:学習障害)を持つ子どもによく見られますが、発達障害の診断基準には含まれていません。
しかし、多くの子どもが感覚過敏を併発しており、適切な理解と対応が重要です。
本記事では、感覚過敏の種類や特徴、チェックリスト、原因、対処法について詳しく解説します。
感覚過敏の種類
感覚過敏には以下のような種類があります。
● 視覚過敏:光や特定の色彩に強い不快感を覚える。
● 聴覚過敏:特定の音や大きな音が耐えがたく感じる。
● 触覚過敏:衣服のタグや特定の質感が強いストレスになる。
● 味覚過敏:特定の味や食感を極端に嫌う。
● 嗅覚過敏:特定の匂いに強い嫌悪感を示し、体調不良を起こす。
感覚過敏は一つの感覚だけでなく、複数の感覚に影響を及ぼすこともあります。
感覚過敏のチェックリスト
お子さんに感覚過敏の兆候が見られるかどうか、以下のリストを参考にしてみてください。
嗅覚過敏
● 柔軟剤や洗剤の匂いが苦手
● 料理の匂いで気分が悪くなる
● タバコや排気ガスの匂いが耐えられない
● 特定の匂いに強い嫌悪感を持つ
聴覚過敏
● 掃除機やドライヤーの音が耐えられない
● 人ごみや騒音の中で耳を塞ぐ
● 学校のチャイムや赤ちゃんの泣き声が不快
● 突然の大きな音に驚きやすい
視覚過敏
● 明るい光や蛍光灯がまぶしくて目を細める
● 強いコントラストの色彩を嫌がる
● 人混みや画面の光刺激で疲れやすい
触覚過敏
● 衣服のタグや縫い目を嫌がる
● 水や泥遊びを避ける
● 髪をとかされるのを嫌がる
● 体が触れられるのを極端に嫌う
味覚過敏
● わずかな苦味や酸味に敏感
● 特定の食感を嫌う(ドロッとしたもの、ザラザラしたもの)
● 偏食が激しい
● 食べ物の匂いで気持ち悪くなる
お子さんが複数の項目に当てはまる場合は、感覚過敏の可能性があります。
感覚過敏の原因
感覚過敏の原因はさまざまですが、大きく分けて以下の3つが考えられます。
1. 脳の感覚処理の違い
脳が感覚情報を処理する際に通常よりも強く反応してしまうことが原因と考えられています。
特に、感覚刺激のフィルタリングが適切に機能せず、通常なら気にならない音や光、匂いなどを過度に意識してしまうことが影響しています。
● 感覚情報の処理能力が異なり、通常の刺激を強く感じてしまう。
● 神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリン)のバランスが崩れている可能性。
● 発達障害(ASD、ADHD)に関連する感覚処理の特性。
2. 疾患によるもの
感覚過敏は特定の疾患と関連していることがあります。
● 発達障害(ASD、ADHD)
● 内耳障害や視覚障害
● 薬の副作用
● 感染症(例えばCOVID-19後遺症で味覚や嗅覚に影響が出ることがある)
3. ストレスや疲労
精神的ストレスや睡眠不足が過敏な反応を引き起こすことがあります。
● 睡眠不足や精神的ストレスが原因で、通常の刺激を過敏に感じやすくなる。
● 生活習慣の乱れが影響するケースも。
感覚過敏の対策と対応策
感覚過敏の症状を軽減するためには、以下のような工夫が役立ちます。
環境調整
● 視覚過敏:まぶしい光を避けるために遮光カーテンやサングラスを使用。
● 聴覚過敏:ノイズキャンセリングヘッドフォンを活用し、騒音を遮断。
● 触覚過敏:衣服のタグを取り除き、肌に優しい素材を選ぶ。
● 嗅覚過敏:無香料の洗剤や柔軟剤を使い、刺激の少ない環境を整える。
● 味覚過敏:苦手な食材を少しずつ試し、食感が好ましい形に調整する。
リラックス法
● 深呼吸や瞑想でリラックスする習慣をつける。
● 好きな音楽や香りを取り入れて安心できる環境を作る。
専門家への相談
● 発達障害の専門医や感覚統合療法士に相談する。
● 必要に応じて病院での検査を受ける。
感覚過敏が日常生活に大きな影響を及ぼしている場合は、専門家の助言を受けながら、子どもに合った方法で対応していきましょう。
感覚過敏による影響
感覚過敏が強いと、以下のような問題が生じることがあります。
学校や社会生活への影響
● 騒がしい環境で集中できない
● 人混みや光刺激が強い場所を避けがち
食事の偏りや栄養不足
● 味や食感に敏感で、特定の食品を拒否する
● 栄養の偏りが健康に影響を及ぼす可能性
ストレスや不安の増加
● 周囲に理解されにくいため、自己肯定感が低下することも
● 予期せぬ刺激に対して過度に緊張しやすい
感覚過敏の影響を最小限に抑えるためには、本人の特性を理解し、適切な対策を取ることが大切です。
まとめ
感覚過敏は、特定の感覚に対して通常よりも強く反応してしまう状態です。
発達障害を持つ子どもに多く見られますが、そうでない子どもにも起こることがあります。
感覚過敏がある子どもに対しては、環境の調整や適切な対応が必要です。また、周囲の理解を深めることも重要です。
感覚過敏が疑われる場合は、専門家の助言を受けながら、子どもに合った方法で対応していきましょう。