発達障害を持つ中学生の高校進学について
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こんにちは。名古屋市・豊田市の発達障害専門の個別指導塾・児童発達支援のステラ幼児教室・個別支援塾です。
発達障害を持つ中学生の高校進学は、ご両親にとっても頭を悩ませる問題かと思います。そもそも、どんな進学先があるのか、どういったことに気をつけて選べば良いのかと悩みどころだと思います。
中学校までの義務教育が終わると、高校進学や就職といった進路があります。高校にはさまざまな選択肢があり、さらに迷ってしまいがちです。その選択肢も一つずつご紹介していきますので、参考にしてみてください。
発達障害のある中学生の主な進学先
中学校の「通常級・通級」「特別支援学級」からの進学先を見ていきましょう。
「通級」とは、主として各教科などの指導を通常の学級で行いながら、障害に基づく学習上又は生活上の困難の改善・克服に必要な特別な指導を特別な場で行う教育形態のことです。在籍は「通常級」になります。
「特別支援学級」とは、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校に、教育上特別な支援を必要とする児童および生徒のために置かれた学級のことです。
通常級に在籍、通級をしている生徒
これらの学級での進学先は以下のようになります。
- 高等学校・全日制
普通科、総合学科、コース制、総合選択制、専門学科(工業農業など)などの科があります。 - 高等専門学校
実践的・創造的技術者を養成することを目的とした高等教育機関です。全国に国公私立合わせて57校あります。 - 専修学校(高等課程)
職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図る」ことを目的とする学校です。実践的な職業教育、専門的な技術教育を行う教育機関として、多岐にわたる分野でスペシャリストを育成しています。 - 定時制高等学校
夜間その他特別の時間又は時期において授業を行う課程が定時制です。夜間定時制課程(学年制)・昼間定時制課程(単位制)があります。単位を満たすと高等学校卒業資格を得られます。 - 通信制高等学校
通信による教育をおこないます。レポート、スクーリング、単位認定試験などが課せられ、単位を満たすと高等学校卒業資格を得られます。近年「登校して学校生活を楽しみたい」と望む生徒や保護者の意見が増えてきたこともあり、週5日通学できる通学型の通信制高校も増えています。
一般的な通信制高校の場合、卒業には74単位以上の習得が必要で、スクーリングの回数も高等学校学習指導要領にて定められているのですが(平均して年間25日程度)、この必要最低限の基準さえクリアしていれば、学習方針や目標によってスクーリングの回数を増やすことが可能なのです。なので「週1日コース」「週3日コース」「週5日コース」といった登校日数を選べる学校もあるのです。 - 特別支援学校高等部
特別支援学校は視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者、または病弱者に対して、障害による学習上または生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的としている学校です。
進学の条件(名古屋市立の場合)として、「名古屋市立中学校特別支援学級在籍」「名古屋市在住」「知的障害を証明するもの=愛護手帳」の3つの条件を全て満たす必要があります。特別支援学校高等部は、高等学校卒業資格は得られませんが、大学受験資格は12年の学校教育(小学校6年、中学校3年、特別支援学校3年の合計12年)を修了した際には得られます。名古屋市内には西養護学校、南養護学校、天白養護学校、守山養護学校があります。
- 高等特別支援学校
一般企業への就職ができる可能性が高い生徒に対して、就労に重点を置いたカリキュラムでの教育をします。進学の条件(名古屋市立の場合)として、「名古屋市立中学校特別支援学級在籍」「名古屋市在住」「知的障害を証明するもの=愛護手帳」の3つの条件を全て満たす必要があります。高等特別支援学校は、高等学校卒業資格は得られませんが、大学受験資格は12年の学校教育(小学校6年、中学校3年、高等特別支援学校3年の合計12年)を修了した際には得られます。
名古屋市内には守山養護学校(産業科)の1校ですが、愛知県内には、豊橋くすのき特別支援学校(産業科)、大府もちのき特別支援桃花校舎(普通科)、春日井高等特別支援学校(産業科)、豊田高等特別支援学校(産業科)があり、名古屋市在住であれば県立に進学することもできます。(名古屋市在住でない場合は名古屋市内の守山養護学校には進学できません。)
- 職業能力開発施設
障害者が必要な技能を習得することにより就職を容易にし、職業的に自立することができるよう、職業訓練を行う施設です。名古屋市内では「名古屋高等技術専門学校」「なごや職業開拓校」の施設があります。 - 高校(全日制・定時制・通信制)専修学校など
上記「通常級に在籍、通級をしている生徒」に記したしたように、高校にはさまざまな課程があります。進学に際しては、中学校の担任と相談することが必要です。
※中学3年時に特別支援級に在籍し、通常級の授業を受けていない、定期テストを受けていない等の場合、基本的に公立高校への進学はできません。 - 受けられる支援の確認
障害を学校側に伝える場合は、どんなサポートをしてくれるのかを確認しておきましょう。障害を知らせない場合は、困ったとこがあった時の対処法をお子さんと話し合っておきましょう。 - 学校までの交通機関等の事前確認
混雑の程度、乗り換え経路など、環境を事前に把握しておくことが必要です。例えばラッシュが苦手なら自転車通学を選択するなどの対策がとれます。 - 本人が困った時の相談場所の確認
いざという時のために、スクールカウンセラーがいると安心です。最近ではスクールカウンセラーを配置している高校が増えています。いない場合は誰に相談に行けばいいかを学校側とも話合っておくと良いです。
なお中学3年時に通常級に在籍している場合、特別支援学校への進学は出来ません。
特別支援学級に在籍している生徒
特別支援学級からの進学先は以下の選択肢があります。
進路を決める時は、やりたいこと、できることを見極め、周りの人と相談しながら決めましょう
進路を決める時のポイントを以下の通りまとめました。
お子さんがやりたいことは何?
お子さんが好きなことは何でしょうか?
お子さんはどんな学校生活を送りたいと思っているでしょうか?
お子さんの絶対にしたくない、なりたくないものは何でしょうか?
自分の『本当にしたいこと』をはっきりさせるのは大人でも難しいです。
早いうちからお子さんと話し合って、やりたいことを確認しておくとよいでしょう。
お子さんができること、できないことは何?
『できること』は本人のものさしではなく、他の人と同じものさしを使って測っていく必要があります。
『したいこと』と『できること』は違います。
周囲の人に聞いたり、テストなどで客観的に測っていけるとよいでしょう。
学力・・・定期テストや成績表、模試など
能力・資質・・・知能検査(WISCなど)
各種アセスメント(職業能力を測るアセスメントなど)
自己分析ツール(ストレングスファインダー、グッドポイント診断 など)
周りの人と相談相談しましょう
見えないところでお子さんがたくさん考えたり悩んだりしながら様々な経験を積んでいることが、周りの大人たちにあまり上手く伝わっていないこともあります。特に発達障害のある人の物事の見え方・捉え方、表現の仕方が周囲の人に正しく理解されにくいこともあるでしょう。
お子さんと保護者さんと意見が分かれてしまい、お子さんは「理解してもらえない」と諦めることもあるかもしれません。そんなときのために別の立場の人に仲介役をお願いして意見のすり合わせができるとよいでしょう。
学校を選ぶ時は、受けられる支援、交通機関、困った時の対処法を確認しましょう
学校を選ぶ上でのポイントを以下の通りまとめました。
学校を選ぶ時のポイント
学校選びのポイントは、お子さまの現状を考慮し、今どんな支援が必要なのかを第一に考えることです。
出典:文部科学省 http://www.mext.go.jp/