境界知能の診断とは?境界知能と診断された場合のサポートは?
- 知的障害
- 発達障害
- ASD(自閉症スペクトラム)
- ADHD(注意欠如多動性障害)
- ダウン症
- その他障害・疾患
- LD(学習障害)
- 支援方法・家庭での過ごし方
「境界知能」とは、知能指数(IQ)が平均より低いものの、知的障害には該当しない状態を指します。この特性を持つ子どもは、学習や社会生活の場面で困難を感じることがありますが、公的な支援の対象外となることが多く、適切なサポートを受けにくい現状があります。
そこで本記事では、境界知能の診断基準や特徴について解説し、境界知能と診断された場合にどのようなサポートや環境づくりができるのかを説明します。子どもの成長を支えるためのヒントを、一緒に考えていきましょう。
目次
- 境界知能の診断とは?
- 境界知能の特徴
- 境界知能と診断された場合のサポート
- 境界知能に関するまとめ
境界知能の診断とは?
子どもの発達や学習の遅れについて「もしかして境界知能かもしれない」と感じたことはありませんか?境界知能は、知能指数(IQ)71〜85の範囲を指し、知的障害には該当しないものの、学習や社会性の面で困難を抱えることがある状態です。
まず本項では、境界知能の基準や診断方法、特徴について、分かりやすく説明します。
境界知能の基準
境界知能は、知能指数(IQ)が71以上85未満のIQは、知的障害の診断基準を満たさないが、生活上の困難を経験する割合が高いことから、境界知能と呼ばれることがあります。
この範囲のIQを持つ人々は、知的障害と診断される基準(IQ70未満)※には該当しませんが、平均的な知能(IQ85〜115)よりも低いため、学習や社会生活で困難を感じることがあります。日本では人口の約14%、つまり7人に1人が境界知能に該当するとされています。しかし、知的障害と認定されないため、公的な支援を受けにくいのが現状です。
※軽度知的障害はIQ51〜70相当という位置付け
参考元:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000651412.pdf
知能指数とは
知能指数(IQ)とは、個人の知的能力を数値化した指標で、標準化された知能検査によって測定されます。IQは、記憶力や問題解決力、言語理解力など、さまざまな能力を評価するための指標ですが、知能のすべてを表すわけではありません。
日常生活の適応力や学習環境、本人の努力やサポートによっても変化するものです。IQの数値だけにとらわれず、子どもの得意なことや苦手なことを把握し、子どもに合った適切な支援を考えることが大切です。
境界知能の診断
境界知能の診断は、 知能検査や発達検査を通じて、子どもの考える力や日常生活の適応力 を確認するものです。具体的には、 ウェクスラー式知能検査(WISC)や田中ビネー知能検査などの知能検査を使い、言葉の理解・記憶力・問題解決力・作業のスピードなどを測定します。
その際に知能指数(IQ)が 71〜85の範囲の場合、「境界知能」と判断されることがあるというわけです。ただし、IQの数値だけで判断するのではなく、日常生活の様子や社会的スキル(お友達との関わり方・指示の理解・自立度など)も合わせて評価されます。こうした診断をもとに、子どもにとってどんなサポートが必要かを考えることが重要です。
境界知能の特徴
境界知能を持つ子どもは、以下のような特徴が見られることがあります。
学習面の遅れ
読み書きや計算などが苦手な傾向があり、授業の内容を理解するのに時間がかかります。
コミュニケーションの課題
友人関係を築くのが難しい傾向があり、コミュニケーションで誤解を招くことがある。
自己管理が難しい
時間や金銭の管理が苦手な傾向があり、日常生活でミスが多くなってしまう。
これらの特徴には個人差があり、すべての境界知能の子どもに当てはまるわけではありません。早期に特性を理解し、適切なサポートを提供することが重要で、生活上の困難を軽減することもできます。
境界知能と診断された場合のサポート
境界知能と診断されると、「どのように支援すればいいのか」と悩む保護者の方も多いでしょう。知的障害の基準を満たさないため、公的な支援を受けにくいことが課題ですが、適切な環境を整えることで、子どもの可能性を伸ばすことは十分に可能です。
本項では、境界知能と診断された場合のサポートや環境づくりについて解説していきます。
学習支援の環境を整える
境界知能の傾向がある子どもには、個々の特性に合わせた学習環境の整備が大切です。
具体的には、集中しやすい静かな場所の確保や、視覚的な教材の活用、短時間で区切った学習スケジュールの作成などが効果的です。また、ICT機器など支援機器の導入も、学習の理解を深める手助けとなります。これらの工夫により、子どもの学習意欲を高め、効果的な学習支援が可能となります。
得意を伸ばして自信をつける
境界知能の傾向がある子どもは、特定の分野で優れた才能を持つこともあります。
その得意分野を見つけ、伸ばすことで自信や自己肯定感を育むことができます。たとえば、音楽や絵画、スポーツなど、子どもが興味を持つ活動に積極的に参加させることが大切です。成功体験を積むことで、自己肯定感が高まり、他の分野への意欲も向上します。保護者や教育者は、子どもの興味や才能を見極め、適切なサポートを提供しましょう。
できることを少しずつ増やす
子どもの成長には、無理のない範囲で段階的に目標設定をするのが効果的です。
小さな成功体験を少しずつ積み重ねることで、自己効力感が高まり、さらなる挑戦への意欲が湧いてきます。たとえば、日常生活の中で簡単な家事を任せたり、学習面では短時間でできる課題から始めて徐々に難易度を上げるなどの方法があります。子どものペースに合わせたサポートが、継続的な成長につながります。
支援機関とのつながりを持つ
境界知能の傾向がある子どもの支援には、専門的な知識を持つ機関との連携も必要です。
そうすることで、情報交換や正しい知識などが得られ、保護者の方の不安軽減にもつながります。各都道府県には「発達障害者支援センター」などがあり、相談や支援を誰でも受けることが可能です。これらのセンターでは、個別の相談対応や研修などを行っています。お住まいの地域の支援センターに問い合わせることで、適切なサポートや情報を得ることができます。
子どもの特性を理解し、適切なサポートを提供することで、より良い成長と発達を促すことができます。保護者や教育者が協力し、温かく見守りながら支援していくことが大切です。
境界知能に関するまとめ
境界知能とは、IQが 71〜85の範囲にある状態で、知的障害には該当しないものの、学習や社会生活で困難を感じることがあります。診断には知能検査(WISC・田中ビネー)が用いられ、IQだけではなく、日常生活の適応力や社会性など相対的な評価がされます。
支援としては、 学習環境の整備・得意分野の伸長・段階的な目標設定・専門機関との連携が有効です。集中しやすい環境づくりや、好きなことを伸ばすことで自信を育み、日常生活のスキルを少しずつ向上させることが重要です。また、発達支援センターなどの専門機関とつながることで、適切なアドバイスを受けることができます。子どもの特性を理解し、温かく見守りながら支援していくことが大切です。
参考元
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000651412.pdf
お子さまの発達や勉強の遅れなどで悩んでいませんか?
ステラ幼児教室・個別支援塾では、お子さま一人ひとりに合わせてサポートしています。
個性や特性に合わせたオーダーメイドの授業がステラの特長です。
見学やお問い合わせなど、お気軽にご相談ください。