サヴァン症候群と言われる人々
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こんにちは。名古屋市・豊田市の発達障害専門の個別指導塾・児童発達支援のステラ幼児教室・個別支援塾です。
今回のコラムでは、発達障害に関連した「サヴァン症候群」について取り上げます。
目次
サヴァン症候群とは?
サヴァン症候群とは、一瞬で風景や音楽を記憶したり、パソコンでも時間がかかるような複雑な計算をこなすことができる能力を持つ人々のことを指します。
このコラムでは、発達障害に関連した「サヴァン症候群」について詳しく説明します。
鉄道を描き続けるサヴァン症候群の画家
自閉症の画家、福島尚(ひさし)さん(46)が12年前に描いた一枚の絵が話題になっています。
(ガレリア デ カフェ リモン)
車体の細部から遠近感まで、まるで写真のような精密な作品です。
しかし、ネットで「記憶だけで描く」と天才扱いされることに対し、父・清さんは戸惑いを感じているそうです。
「尚は努力家。絵を描く前には現場でメモを取るし、普段から鉄道雑誌で車体をつぶさに観察しているんです」とのこと。
サヴァン症候群の特徴
サヴァン症候群の人には、以下のような特徴があります。
● 特定の分野で許容できる優れた能力を持つ(例:数学、音楽、絵画など)
● 写真のようなリアルな絵を描く能力を持つ
● 一度聞いただけの曲を完全に再現する能力を持つ
● 記憶力が驚異的に発達している
● こだわりが強く、特定のテーマや物事に深く没頭する
● 日常生活のスキルがな苦手なことが多い(例:靴ひもを結ぶ、掃除をする)
● 多くのケースで自閉症スペクトラム(ASD)との関連が見られる
一説によると、サヴァン症候群は自閉症患者の10人にひとり、脳損傷患者あるいは知的障害者の2000人にひとりの割合でみられると言われています。
以下のデータは、サヴァン症候群に関する研究によるものです。
項目 | 統計データ | 出典 |
---|---|---|
世界の人口におけるサヴァン症候群の割合 | 約0.01%未満 | トレファート、D. (2009) |
自閉症スペクトラム(ASD)の人にサヴァン症候群の特徴が見られる割合 | 約10% | アメリカ精神医学会(DSM-5、2013) |
男性の発症率 | 女性の4~6倍 | トレファート、D. (2009) |
このように、サヴァン症候群は自閉症スペクトラムの人に比較的多く見られ、一般的な人口においては稀な現象であることがわかります。
日常生活とのギャップ
サヴァン症候群の人々は、類い稀な能力を持ちながらも、一方で掃除や靴ひもを結ぶなどの日常生活に必要な(定型発達者にとっては簡単な)行動ができないケースも見られます。
また、社会性の問題を抱えることが多く、コミュニケーション障害などの発達障害の症状を示すこともあります。
サヴァン症候群の能力の謎
では、どうしてサヴァン症候群の能力が生まれるのでしょうか?
その原因はまだはっきりとは解明されていません。現在のところ、脳の変形症が関与しているのではないかと考えられています。
こだわりの強さや非常に高い記憶力を持つことが特徴とされています。また、色彩感覚に優れたサヴァン症候群の方も存在します。
3歳で発揮される才能
例えば、3歳で幻想的な色使いの絵を描くことができる子どももいます。
こうした事例から、サヴァン症候群は幼少期から現れることが多いと考えられます。
3歳でこんな幻想的な色使いができてしまうのですね。
サヴァン症候群の有名人
サヴァン症候群といわれる有名人には、以下のような人物がいます。
歴史的な偉人
- アルベルト・アインシュタイン:相対性理論の生みの親
- トーマス・エジソン:発明王
- ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:音楽家
- レオナルド・ダ・ヴィンチ:画家・発明家
日本のサヴァン症候群の方々
- 山下清画伯:テレビドラマ「裸の大将」のモデル
- ジミー大西さん:画家。「やってる!やってる!」のギャグもある芸人
- さかなクン:はこふぐの帽子でおなじみの芸能人。さかな博士。
こうしてサヴァン症候群と言われる方々を見てみると、その卓越した能力に納得させられます。
近年の研究
近年の神経科学の研究では、サヴァン症候群の才能が脳の特定の部位の活性化と関係している可能性が示唆されています。
特に、右脳の活動が左脳よりも優位に働くことで、驚異的な記憶力や芸術的才能が発揮されるケースが多いとされています。
また、脳の可塑性(プラスティシティ)と関連して、事故や病気によって脳の一部が損傷を受けた後にサヴァン能力が発現する「後天性サヴァン症候群」も報告されています。
サヴァン症候群は障害ではなく個性
サヴァン症候群は、天才的な能力を持つ一方で、さまざまな障害を併せ持つため、問題行動のように見える言動をすることがあります。
しかし、それは本人の意思によるものではなく、周囲の理解が必要とされる部分でもあります。
個性を伸ばす社会のあり方
障害として捉えるのではなく、個性として認識することで、その能力を活かすことができます。
自閉症スペクトラムの子どもたちの中には、サヴァン症候群ほどの能力を持たなくても、特定の分野で優れた能力を発揮する子どもがいます。
アメリカではこうした子どもを「ギフテッド」と呼び、「神様から特別な能力を与えられた人」として支援するプログラムが整っています。
未来への展望
日本ではまだ認知度が低いものの、サヴァン症候群やギフテッドの子どもたちが、その才能を最大限に活かせる社会が求められています。
AIやバーチャルリアリティ(VR)などの技術を活用することで、サヴァン症候群の人々がより社会で活躍できる環境が整っていくでしょう。
また、一般社会においても、サヴァン症候群に対する認知が広がることで、より多くの人々が彼らの才能に気づき、適切な支援を行うことができるようになることが望まれます。
「概念」を捨てて、彼らの個性を伸ばしていける世の中になることを願っています。