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発達検査(新版K式発達検査)について

2016.10.21
  • 発達検査・心理検査等

【新版K式発達検査】

前回の田中ビネー式知能検査と同様、児童相談所や療育センターで、療育手帳の判定のために広く使われています。今回は新版K式発達検査をご紹介します。
 

【新版K式発達検査の歴史】

新版新版K式発達検査は嶋津峯眞、生澤雅夫らによって、京都市児童院(1931年設立、現・京都市児童福祉センター)で1951年に作られました。最近では、おもに自閉症などの発達障害の診断の判断材料の一つとして使われています。
開発された当初は京都市児童院を中心に一部の地域や研究者の間でのみ使われていましたが、1978年に大幅な改訂と再標準化が行われ、以来改訂を重ねながら、適用年齢が拡張されています。1980年に「新版K式発達検査」が刊行されたときの適用年齢は0歳~10歳でしたが、1983年の「新版K式発達検査増補版」では、12歳、13歳までに拡張され、さらに2001年に刊行された「新版K式発達検査2001」では成人までに拡張されています。

【新版K式発達検査の特徴】

新版K式発達検査では、被検者の発達の状態を、精神発達の全面的な進みや遅れ、バランスの崩れなどさまざまな諸側面においてとらえることができます。検査は、「姿勢・運動」(P-M)、「認知・適応」(C-A)、「言語・社会」(L-S)の3領域について評価されます。なお、3歳以上では「認知・適応」面、「言語・社会」面に重点を置いています。また、乳幼児向けの検査用具には、振ると音が鳴るガラガラや積木、ミニカーといった乳幼児にとってなじみのある材料が使われています。このような検査用具を使うことによって、子どもの自然な行動が観察しやすい検査となっています。検査者は検査結果だけでなく、言語反応、感情、動作、情緒などの反応も記録し、総合的に判断します。

【新版K式発達検査の検査方法】

1対1(検査者と被検査者)の個別式検査です。検査実施の際には、被検査者と検査者は向かい合うのではなく、隣に座ることが原則となっています。新版K式発達検査では、生活年齢(CA)にしたがって、検査用紙が第1葉(よう)から第6葉までの6枚に分かれています。また、検査課題に対し、被検査者が過度に緊張している場合は強要せず、興味や注意が持続させられるよう気を配り、十分に力を発揮できるよう配慮されています。検査では、検査結果だけでなく検査用紙の空白の部分などを利用し、できる限り被検査者を観察した内容を書き留めることが望まれています。
新版K式発達検査の検査用紙に配置されている検査項目の生活年齢(CA)は以下のようになっています。

  • ・第1葉 0歳0ヶ月~0歳6ヶ月
  • ・第2葉 0歳6ヶ月超~1歳0ヶ月未満
  • ・第3葉 1歳0ヶ月~超3歳0ヶ月未満
  • ・第4葉 3歳0ヶ月超~6歳6ヶ月未満
  • ・第5葉 6歳6ヶ月超~14歳0ヶ月未満
  • ・第6葉 10歳0ヶ月超~成人
  • (第5葉と第6葉は一部重なりがある)

【新版K式発達検査の利点】

  • 1. 適用年齢範囲の広さ 生後100日から成人まで検査することができます。以前に紹介したWISC検査の実施年齢が5-16歳に対して幅が広く、5歳以下の子どもでも検査を受ける事ができます。
  • 2. 実施時間の短さ 15分~60分程度で検査することができます。以前に紹介したWISC検査の実施時間が1時間半-2時間に対して短いため、小さな子どもでも飽きずに検査を受ける事ができます。
    新版K式発達検査の場合、生活年齢(CA)によって検査用紙が異なるため、実施時間も年齢に応じて異なります。

  • 3. 実施頻度が検査結果によること 検査の結果、特にに発達が遅れていると考えられる子どもの場合は、1回の検査で障害の有無を決めず、検査を受けた後の経過を観察することが必要です。経過観察のための間隔は、1歳未満は1ヵ月以上、1歳~3歳未満は3ヵ月以上、3歳未満は6ヵ月以上、学童期以降は、1年~2年以上あけることが望ましいとされています。経過観察を終えて、再検査する場合が多いようです。

【新版K式発達検査の留意点】

ほかの発達検査にもいえることですが「単に発達年齢、発達指数を出すことが目的ではなく、行動を観察する場面として用い、子どもの発達の諸側面としてとらえるべきである。」と開発者の一人である生澤は強調しています。
 
(参考文献:厚生労働省 平成24年度障害者総合福祉推進事業 発達障害児者支援とアセスメントに関するガイドライン)

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