発達検査(田中ビネー式知能検査)について
- 発達検査・心理検査等
こんにちは。名古屋市・豊田市の発達障害専門の個別指導塾・児童発達支援のステラ幼児教室・個別支援塾です。
療育センターやクリニックを受診すると田中ビネー式の検査の実施を提案されることがあります。ステラにいらっしゃる方の中には、この検査の結果を持っていらっしゃる方もいます。「レポートはもらったけど、どんな検査かよくわからない…」という話もよくうかがいますので、今回は田中ビネー式知能検査をご紹介します。
【ビネー式知能検査の歴史】
ビネー式知能検査はフランスのBinetが医師であるSimonと1905年に作ったのが始まりで初期の頃は30問の検査項目でした。以降、多くの研究者によって翻訳や改訂が行われ、Termanが1916年に発表したスタンフォード改訂版(スタンフォード・ビネー知能検査)は広く使われ、これをもとに日本では1947年に田中寛一によって田中ビネー式知能検査が作られました。この時には検査項目は90問まで増えています。田中ビネー式は1970年に改訂され、更に1987年に全面的な改訂が行われ現在検査項目は118問となりました。検査は年齢別に構成されていて、1-3歳級までは各12問、4-13歳級までは各6問、14歳級以上は成人級の問題として、成人Ⅰ、成人Ⅱは各8問、成人Ⅲは各6問で構成されています。
【ビネー式知能検査の特徴】
ビネー式は大きく分けて3つの特徴が挙げられます。
- 1:個別知能検査 検査は1対1で実施され、被検者の反応過程をよく理解したり、実施中の行動観察などから被検者の関心・意欲などについてもとらえることができます。
- 2:日常経験に基づいた多角的な総合検査法 知能を記憶や判断などの個々の要素に分析せずに、包括的・総合的に測定できます。
- 3:年齢尺度で構成されている 結果が年齢基準と結び付けて評価されます。検査を構成する問題は年齢に応じて分けてあるため5歳級の問題を4歳児が正答することはほとんでできませんが、5歳児ではかなりの数の子どもが正答でき、さらに6歳児になるとほとんどの子どもが正答することができます。またもう1つの特徴として、精神年齢が算出され、これが子どもの知能の発達水準を示すものと考えられます。
【ビネー式知能検査の算出方法】
検査が終了したら3つの指数を計算します。
生活年齢(CA)=検査実施年月日-被検者の生年月日
精神年齢(MA)=基底年齢+(基底年齢級以上の年齢級の合格問題数×加算月数)
知能指数(IQ)=精神年齢÷生活年齢×100
【ビネー式知能検査の利点】
ビネー式は日本で広く用いられている検査ですがその理由は2点が挙げられます。
- 1:被検者の知的能力を総合的に測定し、その結果を精神年齢という指標で把握できる点 特定の知的能力に明らかに問題があるわけではなく、全体的に何となく知的な遅れが感じられるような場合に発揮されます。
- 2:検査の所要時間が比較的短い点 以前にブログで紹介したWISCは実施時間が1時間半から2時間かかるため特に被験者が小さなお子さんの場合、飽きてしまったり集中できなくなってしまいます。その点ビネーは熟練した検査者であれば20-30分で実施できるため被検者が飽きてしまう前に検査を終了することができます。
【ビネー式知能検査の留意点】
ビネー式は一度の検査で実施する項目数はそれほど多くはないため、その結果算出される精神年齢や知能指数を絶対的な指標として扱うべきではありません。あくまでも目安であるという事です。これはビネー式以外の知能検査でも同じ事が言えます。
(参考文献:心理アセスメントハンドブック 第2版 上里一郎 西村書店)