高校の通級指導教室実現に向けての2つの課題
- 発達障害
- ASD(自閉症スペクトラム)
- ADHD(注意欠如多動性障害)
- LD(学習障害)
- 進学・受験
http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20170820000101
発達障害児の親御さんにとって、幼稚園、保育園を卒園した後の学校問題はとても頭を悩ます問題です。普通級を希望される親御さんの中には、通常の学級に在籍しながら、その子の障害特性に合った指導をしてくれる「通級指導教室」の存在は心強いかと思います。
小中学校でも通級指導教室の設置はまだまだ少ないですが、「高校でも通級指導が必要だ」との声を受けて、文科省は高校での通級指導教室の導入方法について検討を重ねてきました。この結果、高校も平成30年度導入されることになりました。
それに先がけ京都府の田辺高等学校では、2014年度に文部科学省の研究指定校となり、先進校への視察や研修などを試行錯誤を重ねているそうです。
視察や研修を重ねる中、2点最も議論した問題点がありました。
①どの時間帯に行うか
②対象生徒をどう選ぶか
①では通常の授業時間に対象児をクラスから抜けさせることは、多感な高校生ではからかいの対象になりかねないという問題。
②では小中学校で支援対象になっていても、その情報の引継ぎがなされていないケースなども多く、選ぶ基準も明確ではないという問題。
同校ではこれらの問題を模索しながら構築したようですが、これは30年に高校での通級指導教室設置が施行されたとしても各高校でも問題となる点ではあるのは明らかです。
同校の例を取ってみてみると、対象生徒を1学期かけて生徒の様子を観察し見極め、また指導は生徒と先生の信頼関係をじっくり築くことから取り組んだという、時間をかけていることが伺えます。それでも、当初は無断で通級を休んだり、教員との会話も難しかったようで、2年という時間をかけて徐々に好転が見られたということでした。
発達障害のお子さんにとって最も大事なことは、これからの長い人生をこの社会の中でどう生き抜いていくかに尽きると思います。
学校という組織に守られている間に、それらのスキルを社会に出る日までにひとつでも多く身に着けるために、通級指導教室という役割はとても大きいものだと思います。
高校で通級指導教室が設置されるとしても、たくさんの課題がある中、かかわる大人たちが「子供たちのこれからの人生」を大局的見地で見据えていってほしいと切に願います。
*平成28年度は小・中学校の15.2%、平成27年度は13.2%と、まだまだそ通級指導教室の設置数は少ない状態です。