発達障害と作業療法(OT)
2018.04.05
- 発達障害の療法
作業療法(OT)の技法
作業療法(OT)で行われていることは次のような内容になります。
- 生活の中で必要な動作の獲得
作業療法士が目指すものは、生活の中で必要な動作です。対象となる人それぞれの生活や生きがいの中で必要な動作について、可能な限り維持や改善をめざします。
身体機能や痛み、対象となる人の生活や希望することがらを評価して分析をし、それぞれに応じたプログラムをつくっていきます。 - 就労支援
病気や障害がある人が、その人の状況に合わせた働き方で社会の中で活躍できるよう支援をしていきます。 - 子どもの発達支援
生活や学習のしづらさを抱えている子どもたちの生きる力を支えていきます。目的に応じた遊びを通して認知や運動の発達をうながしたり、学習環境や道具の調整を行ったりすることもあります。
また、本人が学びやすい環境を整えるために、学校からの相談に応じたり助言を行うことも大切になります。 - 補装具や環境の調整
対象となる人のもつ精神的・身体的機能の維持や向上を目指すだけではなく、その人になじむ道具を使うことで、目的の動作を達成することも大切なことです。
たとえば、持ちやすいスプーンや安定する食器や椅子といった道具を工夫することで、食事動作がスムーズになることもあります。 - 健康増進や介護予防のための助言、介護者への助言
作業療法士は、治療だけではなくケガや病気の予防、健康増進の推進や、地域の住民がいきいきと暮らせるような助言も行います。
作業療法(OT)を必要とする人が、それぞれの暮らしを豊かに過ごせるように支援をしていきます。
こんな問題を抱えている人に効果がある
心と身体は切り離すことができないものです。身体動作に障害がある人、認知症や精神疾患のある人、発達障害のお子さんや、現在は健康にみえてもストレスを抱えている人など、さまざまな人が対象となります。
幼児から高齢者まで幅広い年代の人が対象です。
なかでも、作業療法(OT)の対象には以下のような子どもがいます。
- 運動や感覚発達がゆっくりな子ども
脳や神経の障害によって身体に麻痺がある子や、運動発達、認知発達などがゆっくりな子が潜在的に持っている力を引き出します。 - 運動に問題がなさそうにみえる子ども
知的障害、ASD(自閉症スペクトラム)やADHD(注意欠如多動性障害)など発達障害の子どもの中には、ぱっと見ただけでは問題がないように見えても、感覚の過敏さや鈍感さを持ち、日々の生活の中で困り感を感じている子がいます。
また、ひとつひとつの動きは問題がなくても、応用動作になると不器用さが目立ち、活動に遅れたり失敗したりすることが多くなっている子がいます。
子どもの作業療法(OT)では、本人が好きな遊びをプログラムに応用することが中心となるでしょう。基本動作の獲得をうながすだけではなく、道具の工夫や助言を行うことで子どもが達成感を得ることも大切です。
子どもたちそれぞれが自分の特徴を知り、将来に向けて生き生きと暮らせる力を育みます。
どこで受けられる?
作業療法(OT)は、総合病院のほか精神科専門クリニックや高齢者施設などで実施されることが多いでしょう。
また、訪問によって自宅での作業療法(OT)を受けることもできます。子どもの分野では、幼児児童福祉施設や児童発達支援施設での実施や、学校などへの巡回相談もみられてきています。